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「若い選手が“ここから伸びる”というタイミングで…」元“高校最強”ラガーマンが「退団→職探し」で気づいたリーグワン“プロ化の弊害” 

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大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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photograph byNobuhiko Otomo

posted2025/07/01 06:01

「若い選手が“ここから伸びる”というタイミングで…」元“高校最強”ラガーマンが「退団→職探し」で気づいたリーグワン“プロ化の弊害”<Number Web> photograph by Nobuhiko Otomo

今季で東京サントリーサンゴリアスを退団した木村貴大。リーグ全体でも退団者が増える中、若手への影響も危惧している

 筑波大に進み、3年からは「身長173センチの自分が日本代表になる可能性を考えて」SHに転向。新たなポジションでも1年目でレギュラーを掴んだ。大学卒業後はトップリーグ時代の豊田自動織機で3シーズンプレーしたが、3年目に退団してニュージーランドへ武者修行に出る。

 日本に一時帰国した2020年には、スーパーラグビーに日本から参戦していたサンウルブズに練習生として飛び込み契約を勝ち取る。だがサンウルブズはこのシーズンで解散。翌年はトップリーグのコカ・コーラ レッドスパークスでプレーするが、そのコカ・コーラも在籍1年で廃部となってしまう。

 そして2021年、今度はリーグワン最初のシーズンに臨む国内のトップチーム、東京サンゴリアスに入団する。だがサンゴリアスで過ごした4シーズン、木村は再三のケガに泣き、公式戦出場は僅か2試合。プレータイムは合計で13分間に終わった。今年6月6日、サンゴリアスが発表した「退団選手リスト」に木村の名前はあった。

「まだ次のチームは決まっていません」

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「まだ次のチームは決まっていません。エージェントから各チームに打診してもらっているだけでなく、自分でも動きましたが、正直言うと厳しいですね。4年間で出場2試合ですから、それは仕方ない。でもネガティブにはなっていません」

 退団発表から1週間、都内で会った木村は笑みを浮かべて話した。確かに表情に影はない。

 発表に先立ち、木村は代理人を通じて、リーグワンの他チームに売り込みをかけていた。移籍事情については先に少し触れたが、リーグワンでは所属チームをなくした「浪人」ラガーマンがごろごろいる。プロ選手の代理人は選手の情報を各チームに流し、各チームは補強が必要なポジションと選手の実力、翌年の採用予定などの条件を考慮して獲得する選手を決める。

「僕自身はこの4年間にすごく成長できた自信がある。だから、きっとチャンスはあると思っているんです」

 木村が4年間、出場機会に恵まれなかったのは、ケガという要素の他に、強大なライバルの存在があった。

【次ページ】 「自分とライバルを比べること」に意味はない

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