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「若い選手が“ここから伸びる”というタイミングで…」元“高校最強”ラガーマンが「退団→職探し」で気づいたリーグワン“プロ化の弊害” 

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大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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photograph byNobuhiko Otomo

posted2025/07/01 06:01

「若い選手が“ここから伸びる”というタイミングで…」元“高校最強”ラガーマンが「退団→職探し」で気づいたリーグワン“プロ化の弊害”<Number Web> photograph by Nobuhiko Otomo

今季で東京サントリーサンゴリアスを退団した木村貴大。リーグ全体でも退団者が増える中、若手への影響も危惧している

 木村が入団した2021年当時、サンゴリアスには2019年W杯で日本代表のSHを務めた流大と、この年に代表初キャップを得た齋藤直人という2人の日本代表SHがいた。同じSHの木村にとっては高いハードル。だが木村はそれをプラスに受け止めていた。

「日本でトップのSHが2人いる。そのチームで一緒にプレーできるなんて、自分にとっては成長のチャンスでしかない」

 入団時に口にしたその抱負通り、木村は2人のライバルから積極的に学んだ。

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 特に教材になったのは流だった。

「一緒に練習していて、直人(齋藤)はシンプルにスキルが高い。だけどナギー(流)は技術以上に、彼が見ている世界は僕が見ている景色とは違うんだろうなと感じることが多かったんです。だから練習のあとや試合のあと、映像を一緒に見て『ここではどこを見ていたんですか?』『何を見てどう判断したんですか?』としつこく質問して、彼の考え方、視野の持ち方を学ぶようにしました」

「自分とライバルを比べること」に意味はない

 そして木村は「でも僕は、自分がナギーになろうとしたわけじゃないんです」と付け加えた。

「これはラグビーに限らないと思うんですが、ポジションを争うライバルがいたときに、ついつい陥ってしまうのが、自分とそのライバルを比べることなんです。どこがライバルに劣っているのか、どこが優っているのかを意識してしまう。でもそれはあまり意味がないんですね。考えるべきなのは、チームが何を求めているか。チームの目標を達成するために自分はどれだけ貢献できるかなんです。

 僕はナギーのプレーを真似したいんじゃなく、ナギーはどんな景色を見て、どんな情報を得て、何を選択してチームに貢献していたか、その判断基準を学びたかった。自分の引き出しを増やして、チームに貢献できるSHになりたかったんです。正直、サンゴリアスでの3年目は、かなり見えるようになったと思っていました。その矢先、調子が良くて『次の試合ではメンバーに入れそうだな』と思ったときにアキレス腱を切ってしまったんですが……」

【次ページ】 気になる「自分より下の世代」…そのワケは?

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