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ラグビーの試合なく暇なので調べた。
「魔法のやかん」はいつ消えた?
posted2020/03/04 20:00
text by
長田昭二Shoji Osada
photograph by
KYODO
昨年のラグビーW杯で久しぶりにラグビーを観た中高年以上の世代は、あることを不思議に思ったのではないか。
「“やかん”が出てこない……」
昔はラグビーの試合や練習中にタックルを受けるなどして転倒し、脳震盪を起こしている選手の頭にやかんの水をかけるシーンがよく見られた。
水をかけられた選手は立ち上がり、プレーに復帰することから“魔法のやかん”などと呼ばれ、ラグビーを象徴するシーンのように扱われたりもしていた。
そんな“魔法のやかん”はなぜ消えたのか。
早大ラグビー部チームドクターの解説。
「医学的な問題はありますが、それ以前にベンチに“やかん”を持ち込まなくなったことが第一でしょう」
こう語るのは麻生総合病院スポーツ整形外科部長で、早稲田大学ラグビー蹴球部チームドクターの鈴木一秀医師だ。
試合中や練習中の「給水方法の変化」がまずあるという。
「そもそもあの水は給水のために用意されている水で、顔にかけることが目的ではない。やかんを使っていた時代は、やかんの口から直接水を飲むことが多く、衛生的ではなかった。
近年は選手の人数分のスクイズボトルを持ち込むようになったので、やかんの必要性がなくなったのです」