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落合博満33歳は“1対4”でロッテ→中日、秋山幸二と糸井嘉男は31歳で電撃移籍「大型トレード」前後の成績比較…覚醒した“意外な選手”も
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広尾晃Kou Hiroo
photograph byJIJI PRESS
posted2025/06/30 17:22
1993年、トレードで西武からダイエーに移籍し、入団発表に出席した(左から)内山智之、秋山幸二、渡辺智男
秋山⇔佐々木のスター級が衝撃の3対3トレード
【秋山幸二⇔佐々木誠、スター外野手のトレード 1993年】
清原和博との「AK砲」で、西武ファンの圧倒的な支持を得ていた秋山が、球団からトレードの通告を受けたのは93年11月のことだった。本人は「夢にも思わなかった」と言ったが、この年最下位に終わりチーム立て直しを目指すダイエーの根本陸夫監督が秋山の獲得を切望し、実現したものだ。
交渉の末、西武が秋山幸二、渡辺智男、内山智之。ダイエーが佐々木誠、村田勝喜、橋本武広、3対3の超大型トレードとなった。
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〈西武→ダイエー〉
秋山幸二 外野手 31歳 13年
1210試4477打1224安328本
858点227盗 率.273
本塁打王1回、MVP2回、ベストナイン8回、ゴールデングラブ7回
渡辺智男 投手 26歳 4年
85登41勝25敗2S
556回408振 率3.35
〈ダイエー→西武〉
佐々木誠 外野手 28歳 10年
978試3564打993安
109本373点168盗 率.279
首位打者1回、最多安打2回、盗塁王1回、ベストナイン3回、ゴールデングラブ3回
村田勝喜 投手 24歳 6年
132登47勝54敗0S
887.2回665振 率3.99
秋山と佐々木はともにパ・リーグ屈指の守備範囲を誇る外野手、強打者同士でもあり、働き盛りのトレードとなった。渡辺と村田もローテーションを維持する先発投手。内山は3年目、橋本も4年目の若手投手だった。
じつは“リリーフで覚醒”したのは橋本だった
〈移籍球団での成績〉
秋山幸二 9年
979試3520打933安
109本454点76盗 率.265
ゴールデングラブ4回
佐々木誠 5年
557試2137打588安
60本257点73盗 率.275
盗塁王1回、ベストナイン3回、ゴールデングラブ1回
秋山は松中信彦、小久保裕紀、城島健司ら生え抜きの打者とともに強力打線を形成し、ダイエーを強豪チームに押し上げた。のちに監督も務める。佐々木もリードオフマンとして活躍したが、5年目オフに金銭トレードで阪神に移籍。のちに米マイナーを経て引退した。
投手を見てみると、ダイエーに移籍した渡辺は4勝、内山は12勝、西武に移籍した村田は4勝。じつは最も長く活躍したのは橋本で、勝ち星こそ9勝だが、所属した94~02年途中までリリーフとして通算453試合に登板するタフネスぶりで、97年には最多ホールドを獲得した。
2013年のハム⇔オリ電撃トレード…主役は糸井
FA移籍が一般化したことから、これ以降NPBでは大型トレードはほとんどみられなくなった。そんな中で青天の霹靂と言える大型の電撃トレードは――2013年のことだった。


