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落合博満33歳は“1対4”でロッテ→中日、秋山幸二と糸井嘉男は31歳で電撃移籍「大型トレード」前後の成績比較…覚醒した“意外な選手”も
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広尾晃Kou Hiroo
photograph byJIJI PRESS
posted2025/06/30 17:22
1993年、トレードで西武からダイエーに移籍し、入団発表に出席した(左から)内山智之、秋山幸二、渡辺智男
【突如起こった糸井嘉男の電撃トレード 2013年】
2012年、糸井は日本ハムの優勝に貢献しベストナイン、CSのMVPも獲得した。チームの大黒柱だったが、翌年1月23日に突如オリックスとの大型トレードが発表され、大きな衝撃を与えた。一説にはMLB挑戦を申し出た糸井に球団が難色を示したとも、年俸面での評価が折り合わなかったためともいわれる。
日本ハムは糸井嘉男、八木智哉、オリックスが木佐貫洋、大引啓次、赤田将吾。2対3という大型トレードとなった。
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〈日本ハム→オリックス〉
糸井嘉男 外野手 31歳 9年
610試2111打638安55本
245点117盗 率.302
ベストナイン3回、ゴールデングラブ3回
八木智哉 投手 29歳 7年
88登34勝26敗0S
510回298振 率3.52
新人王
〈オリックス→日本ハム〉
木佐貫洋 投手 32歳 10年(巨人、オリックス)
185登52勝61敗10S
963回840振 率3.79
新人王
赤田将吾 外野手 29歳 11年(西武、オリックス)
850試2369打623安
28本198打74盗 率.262
大引啓次 内野手 28歳 6年
643試1991打505安
19本152点16盗 率.254
八木、木佐貫と新人王を獲得した投手同士のトレードでもあった。投手から転向した糸井は、キャリアこそ浅かったが働き盛りであり、オリックスでも存分に活躍した。
〈移籍球団での成績〉
糸井嘉男 4年
556試2042打613安
70本280点128盗 率.300
首位打者1回、盗塁王1回、ベストナイン2回、ゴールデングラブ3回
ほぼフル出場し14年には.331で首位打者、16年には35歳で53盗塁してタイトルを獲得。16年オフにFAで阪神に移籍、阪神でも打率3割を2回マークするなど活躍した。糸井と一緒に移籍した八木はオリックスでは未勝利、中日に移籍して引退。
オリックスから日本ハムに移籍した木佐貫は1年目9勝するも3年で引退。西武から2度目の移籍となった赤田も2年65試合に出ただけで引退した。しかし大引は日本ハムで金子誠の後継の遊撃手として2年間活躍。その後ヤクルトに移籍すると、初年度の2015年にセ・リーグ優勝を経験するなど5年間プレーしたのちに引退した。
リチャード⇔秋広、大江や山内⇔小山も…
近年、選手の移籍はトレードだけでなく、FAならびにその人的補償、現役ドラフトと多岐にわたっている。とはいえ交換トレードの場合「交換された選手同士のキャリア」が比較される、という部分がある。
あの球団は得をしたのか? 損をしたのか? そうした「人間ドラマ」も、第1回の「リチャード⇔秋広優人、大江竜聖」や「山内一弘⇔小山正明」から触れていったトレード史の味わいだろう。
〈つづきは第1回〉


