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「いいえ欽ちゃん、それは違います」長嶋茂雄が巨人監督退任前に“絶対に許せなかった”人事「あそこで辞めるのが一番よかった…」名将はなぜ悔やんだか?
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永谷脩Osamu Nagatani
photograph byJIJI PRESS
posted2025/06/29 11:00
2001年をもって巨人の監督を退任した長嶋茂雄。去り際には“ある美学”があった
「いいえ欽ちゃん、それは違います。年齢制限というものがあるのです。いつまでも一線でやれる世界のほうが羨ましいくらいですよ」
長嶋茂雄は65歳になっていた。まだ体力的には自信はあったが、退任会見でも言っていたように、“引き際については、ここ数年間ずっと考えていました”という。次代の監督への委譲をずっと視野に入れながら指揮を執っていたのだ。だが、自分の理解者以外へ委譲することだけは絶対に許したくなかった。
「あそこで辞めるのが一番よかったのですが…」
それは3年前の解任騒ぎにも見え隠れしている。優勝を逸した長嶋監督に交代の話が持ち上がり、その候補者は森祇晶(現横浜監督)であった。長嶋監督は自らオーナーに頭を下げて、続投を申し出ている。

