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ソフトバンクにいた怪物17歳の衝撃…過酷な“韓国遠征”で大活躍していた GM・斉藤和巳が語る“なぜ3軍を韓国へ”? 記者が密着「ホテル到着は午前2時」
posted2025/06/29 06:01
ソフトバンク3軍の韓国遠征に記者が密着した
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田尻耕太郎Kotaro Tajiri
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Kotaro Tajiri
ソフトバンクは球界でいち早く2011年に「3軍」を設立し、2023年からは12球団唯一の「4軍」を導入するなど若手育成に並々ならぬ力を注いでいる球団だ。上限70名の支配下登録選手とは別に、50名を超える育成選手を抱えるなど、まさに独自路線でチーム強化を図っている。
類を見ない取り組みといえば、2012年から続けている「3軍の韓国遠征」もその一つだろう。
シーズン中に“韓国遠征”していた
3軍には1軍や2軍のようなリーグ戦が存在しないため、球団自身が対戦相手を探してマッチメイクをしなければならない。ソフトバンクをはじめ、現在は巨人や西武も3軍戦を行っており、独立リーグ球団やその選抜チーム、社会人野球チーム、大学の野球部などと力比べをしながら実戦経験を積み上げている。その他の球団も2軍が時折練習試合を組むことがある。
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ただ、わざわざ海外までチームを送り込んでいるのはソフトバンクしかない。
かつては、育成選手時代の千賀滉大(現ニューヨーク・メッツ)や甲斐拓也(現巨人)、牧原大成、石川柊太(現ロッテ)も研鑽を積んだ。支配下選手でも武田翔太や栗原陵矢、松本裕樹に参加歴があり、昨年の韓国遠征ではドラフト1位ルーキーだった前田悠伍が“プロ初先発”のマウンドを踏んでいる。
韓国遠征では、同国プロ野球・KBOの2軍チームと試合を行っている。今年も若鷹たちは5月22日に日本を発ち、翌日からハンファイーグルス、KTウィズ、起亜タイガースのそれぞれ2軍チームと計10日間で9試合を戦い、6勝3敗の成績を収めて帰国した。
ソフトバンク球団のフロントで中枢を担う三笠杉彦ゼネラルマネージャー(GM)も現地視察を行い、改めてその意義を唱えた。
「若手育成の根幹にあるのは、実戦の場を設けること。その中でもなるべく強い相手と試合をしたい。KBO球団は2軍といえどもレベルが高い。また、1軍レベルの選手が調整などで出場する場合もありますから」
17歳アルモンテが大活躍
実際、先日の起亜タイガース戦ではパトリック・ウィズダムという内野手が出場していた。彼は米大リーグのシカゴ・カブスなどに在籍し、2021年から3年連続で20本塁打以上を放つなどメジャー通算88本塁打を記録して今季から韓国球界でプレーしているのだが、ソフトバンク3軍が遠征する少し前の時期に腰痛で離脱し、たまたま2軍調整中だったという。

