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ネイマール号泣から5年…メッシ&エムバペ放出で「フェーズ3だ」PSGとインテルのCL決勝「イングランドもスペインもドイツ勢もいない」けど必見の理由
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井川洋一Yoichi Igawa
photograph byPiermarco Tacca - UEFA/Getty Images
posted2025/05/31 11:04

ミュンヘンでのCL決勝に向けて、イニエスタがビッグイヤーをセットするなど、キックオフ前から盛り上がりを見せている
驚異的なセーブを連発する36歳のGKヤン・ゾマーと37歳の熱いCBフランチェスコ・アチェルビ──バルセロナとの準決勝第2戦の後半追加タイムに同点ゴールを決めた英雄のひとり──らが堅守を約束し、31歳のハカン・チャルハノールと36歳のヘンリク・ムヒタリアンと28歳のニコラ・バレッラが中盤を形成する。
ウイングバックの右には29歳のデンゼル・ダンフリース、左には27歳のフェデリコ・ディマルコが入り、彼らは上下動だけでなく、中に入ってプレスをかけて全体に貢献する──準決勝第2戦の先制点がまさにその形から始まったように。
2トップの片割れは、偉大な父リリアンを持つサラブレッド、マルキュス・テュラムだ。バイエルンとの準々決勝第1戦と、バルセロナとの準決勝第2戦で、途中出場から決勝点を決めたラッキーボーイ、ダビデ・フラッテージの存在も面白い。
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インテルは一昨季のCLでも決勝まで駒を進めながら、アブダビの王族が保有するマンチェスター・シティに宿願の欧州制覇を遂げられている。旧くからのミラノの名門クラブが再び決勝で、中東のパトロンを持つ新興勢力に敗れるわけにはいかない。彼らはそう胸に誓っているはずだ。
どちらもマイボール時には堂々と球を回し、守勢に回っても動じることはない。フットボール界を代表するようなスーパースターは、双方にいないが、これからその域に入っていきそうな選手は何人かいる。
スペインもイングランドもドイツ勢もいないけど
スペイン、イングランド、ドイツ勢のいないCL決勝は21年ぶり──2004年のポルト対モナコ以来だ。これには新フォーマットの影響も考えられるが、それを推進した主要人物のひとりは、UEFAの理事を務めるPSGの会長でCEOのナセル・アル=ケライフィだ(スーパーリーグ騒動の頃に代替案として、現行の“スイス方式”が採用されることに。要は試合数と収入を増やすことが目的)。その最初のシーズンに、PSGの初戴冠が果たされれば、エグゼクティブがもたらした勝利とも言えそうだ。
本稿執筆時点で、両チームの主力で負傷しているのは、インテルのヤン・ビセックくらい。最大の注目選手をそれぞれひとりずつ挙げるなら、PSGはクバラツヘリア、インテルはラウタロか。
好勝負が期待されるフランス王者とイタリアの名門による2024-25シーズンのCLファイナルは、日本時間6月1日早朝4時にミュンヘン・フットボール・アレナでキックオフを迎える。湿度の高い朝まだきに、サッカー好きの隣人の騒ぎで起こされたなら、きっと南ドイツでものすごいゴールが決まったはずだ。

