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プロ野球PRESSBACK NUMBER
1年で退任→二軍監督→2度目の就任は「かなり考えました」楽天・三木肇監督“オファーが絶えない男”の横顔「理想は父。小さい頃、夜中に起きると…」
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佐藤春佳Haruka Sato
photograph byHaruka Sato
posted2025/05/15 11:01
楽天の三木肇監督
楽天は2021年を最後にAクラスから遠ざかっており、昨年の今江敏晃前監督も1年で退任。ファームでの育成経験が豊富で選手を熟知した三木監督には、難しい舵取りが託されている。さらに今季は5球団競合の末に引き当てたスーパールーキーの宗山塁内野手が加入。これまで数多くのスター選手を育てた手腕には、宗山を起用しながらその才能をさらに開花させていくことも期待されているだろう。
2度目の登板に際し、理想の指揮官像を聞くと「頼りがいのある人」と口にした。
「野球が大好きで、親身に相談に乗ってくれて、ダメなことは本気で叱ってくれる。この人とだったら野球をしたいと思ってもらえる人になりたいなと思いますね」
「夜中にぽつんと明かりをつけて…」
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心の中には、その理想像がくっきりと浮かぶ。三木監督が小さい頃から野球を教わってきた父・功さんだ。小学生時代にプレーしていたボーイズリーグ「堺南ジャガーズ」(現在の名称は「堺ボーイズ」)の監督として、全国大会で日本一になった経験もある。
「厳しい父で、その分母も色々と協力してくれました。子供の頃よく、夜中に起きてトイレに行く時なんかに、ぽつんと明かりをつけてスタメンとか戦術を何十通りと研究している父の姿を見ていました。ライトに一番守備の上手い選手を入れてひたすらライトゴロをとって勝つ戦術をしてみたり、とにかく色々なことに挑戦していて、野球ってこんなに奥深いんや、と思ったのも親父がきっかけ。少年野球の監督とはいえ、必死に貪欲にやっている父親の姿はずっと心の中にあります」
今年80歳になるという功さんは今も時々、試合を観戦しに来るという。
「俺の方ができるぞ、って思われているかもしれんな(笑)。でも頼りがいのある存在、という理想像はやっぱり、父親の姿だったりするのかな」
強く、頼もしい指揮官として――。再び挑む航路の荒波を乗り越えていく。
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