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「侍ジャパン相手に6回1死完全」“台湾新星”古林睿煬が日本ハム3戦目のマダックスで覚醒か…巨人電撃移籍リチャードは悩ましい“二軍の大記録”問題 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2025/05/12 17:02

「侍ジャパン相手に6回1死完全」“台湾新星”古林睿煬が日本ハム3戦目のマダックスで覚醒か…巨人電撃移籍リチャードは悩ましい“二軍の大記録”問題<Number Web> photograph by JIJI PRESS

いわゆる「マダックス」で初完封勝利を挙げた日本ハムの古林睿煬(グーリン・ルェヤン/24歳)

 台湾は昨年、日本を破って「プレミア12」で初優勝した。メンバーはほぼCPBLの選手だった。来年のWBCでも1次ラウンドで同組となる中で、CPBLのレベルが高まっていることを実感する。

 NPBやMLBで活躍した先人の系譜を別の形で継ぐように――今後は、NPB球団にとってもCPBLは「有力な人材源」になるのではないか。東アジアの野球勢力図の変貌も感じさせる、古林の快投だった。

古林の快投もあって日本ハムが首位に

《第7週 2025年5月5日から11日まで》
【チーム順位】
〈セ・リーグ〉

・通算
 阪神35試20勝14敗1分率.588
 巨人36試19勝16敗1分率.543
 広島34試17勝16敗1分率.515
 DeNA34試16勝16敗2分率.500
 中日34試14勝18敗2分率.438
 ヤクルト31試12勝18敗1分率.400
・第7週
 阪神5試4勝1敗0分率.800
 DeNA6試4勝2敗0分率.667
 広島5試3勝2敗0分率.600
 ヤクルト5試2勝3敗0分率.400
 巨人6試2勝4敗0分率.333
 中日5試1勝4敗0分率.200

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〈パ・リーグ〉
・通算
 日本ハム35試20勝14敗1分率.588
 オリックス35試18勝14敗3分率.563
 西武34試19勝15敗0分率.559
 ソフトバンク36試16勝18敗2分率.471
 楽天34試15勝19敗0分率.441
 ロッテ32試12勝20敗0分率.375
・第7週
 日本ハム6試4勝1敗1分率.800
 西武6試4勝2敗0分率.667
 ソフトバンク6試4勝2敗0分率.667
 オリックス6試2勝3敗1分率.400
 楽天5試1勝4敗0分率.200
 ロッテ5試1勝4敗0分率.200

 セは阪神は投打がかみ合って4勝1敗。巨人を抜いて首位に立った。DeNAが盛り返して5割になった。パでは古林睿煬の快投もあり日本ハムが首位へ。開幕から首位を走っていたオリックスは2位に転落した。

【打撃成績】 ※打撃の総合指標であるRC(Runs Created)順
〈セ・リーグ〉
 ファビアン(広)23打11安2本6点0盗 率.478 RC7.46
 森下翔太(神)21打9安3本10点0盗 率.429 RC6.23
 中野拓夢(神)15打8安0本2点0盗 率.533 RC5.60
 中村奨成(広)17打9安0本2点0盗 率.529 RC4.47
 サンタナ(ヤ)16打5安1本3点0盗 率.313 RC4.09

〈パ・リーグ〉
 万波中正(日)20打7安3本8点0盗 率.350 RC6.84
 藤岡裕大(ロ)15打6安1本2点0盗 率.400 RC6.05
 石井一成(日)12打8安1本4点0盗 率.667 RC5.89
 柳町達(ソ)19打8安0本7点0盗 率.421 RC5.84
 野村佑希(日)24打8安1本2点1盗 率.333 RC5.74

 広島の新外国人、ファビアンが大当たり。早打ちタイプだが安打を量産している。阪神の森下はリーグ最多の3本塁打10打点。2017年夏の甲子園を沸かせ、その年のドラフト会議で1位指名を受けた広島の中村は、ここへきてリードオフマンとして活躍し始めた。盗塁はDeNA林琢真が2で最多。

 日本ハムの万波は10日の楽天戦で満塁、2ランの2本塁打。週間3本塁打8打点はリーグトップ。ソフトバンクの控え捕手嶺井博希は11日のオリックス戦で2ラン、3ラン、2点タイムリー二塁打で1試合7打点。盗塁は楽天の小深田大翔が3で最多。

【投手成績】※リーグ平均防御率に準拠したPR(Pitching Run)順
〈セ・リーグ〉
 村上頌樹(神)1登1勝9回 責0率0.00 PR2.55
 ジャクソン(De)1登1勝7回 責0率0.00 PR1.98
 大野雄大(中)1登1勝6回 責0率0.00 PR1.70
 伊原陵人(神)1登1勝5.2回 責0率0.00 PR1.61
 才木浩人(神)1登1勝5回 責0率0.00 PR1.42

〈パ・リーグ〉
 古林睿煬(日)1登1勝9回 責0率0.00 PR3.16
 九里亜蓮(オ)1登1勝8回 責0率0.00PR2.81
 モイネロ(ソ)1登1勝7回 責0率0.00PR2.46
 伊藤大海(日)1登1勝7回 責0率0.00PR2.46
 曽谷龍平(オ)1登1勝7回 責0率0.00PR2.46
 今井達也(西)1登1勝7回 責0率0.00PR2.46
 隅田知一郎(西)1登1勝7回 責0率0.000PR2.46

 阪神の村上は2登板連続で完封。前週は122球だったが、今週は98球でマダックスを達成。救援ではDeNA入江大生が3セーブ、DeNAウィック、巨人の田中瑛斗、中川皓太、大勢、広島の島内颯太郎、ヤクルト木澤尚文が2ホールドだった。

 冒頭で紹介したように日本ハム古林が98球でマダックス達成。これが自身にとっての初完封勝利ともなった。救援ではオリックス、マチャドが2セーブ。日本ハム池田隆英と宮西尚生、齋藤友貴哉、そして西武ウィンゲンターと甲斐野央が2ホールド。

秋広・大江と1対2トレード…リチャードが狙える“大記録”

《記録》

 日本ハム宮西尚生は5月10日の楽天戦に登板し、中日の岩瀬仁紀の記録に並ぶ879試合連続救援登板をマークした。今週中の新記録達成なるか。

 さらに12日、巨人の秋広優人、大江竜聖とソフトバンクの砂川リチャードのトレードの方が飛び込んできた。巨人は、怪我で戦線離脱した岡本和真の穴を埋めるべく右の強打の内野手の補強に動いたのだろう。

 秋広とリチャードは、ともに主軸打者のポテンシャルがあると周囲が認める有望株だが、期待に応えられないことが多く、監督にとっては悩みの種になっていた。そういう意味では格好のトレードだと言えるが、年俸1000万円(推定)のリチャードに対して、秋広、大江はともに2450万円。年俸的には1000万円対4900万円とアンバランスなトレードになった。

 なおリチャードは昨年までウエスタン・リーグで5年連続で本塁打王だった。巨人はイースタン・リーグゆえ、本人としてみればファームでの活躍はもう十分だろうが――記録マニア的には「ファーム両リーグで本塁打王」という大記録が生まれるか、悩ましくも注目したいところだ。

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