「俊さんの言葉…当時は意味わからなかったけど」日本代表FWゴール量産の背景に中村俊輔が「プレスやポストの質も上げながらね」小川航基27歳の告白 

　そもそも、プロのなかでそれなりに実力のあるFWなら、得点を量産できる時期はそれなりにある。ただ、そこから先に分岐点がある。貴重な経験を「感覚」という表現で片付け、なんとなく過ごすのか。あるいは、ゴールを取るコツや秘訣として、それを再現性のあるものにしていけるか。その違いが、後のキャリアを分ける。

　そこで学んだものがあったから、小川はゴールを取り続けられる。仮にスランプに陥ったとしても、あの学びから這い上がる術を見出していける。サッカーの世界で上り詰めるためには、メンタルや賢さも必要だと言われるのはそれゆえだろう。

　圧倒的な努力と素敵な先輩たちとの出会いを武器に、ゴールを取るための道筋を言語化して、自分の血肉とできたところに、ストライカーとしての強みがある。

プレスやポストの質も上げながらね

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　ただ、小川は過去を振り返って、悦に入るつもりはない。

「個人としても、もう1段階、皮がむける選手にならないといけないです。何も成し得てないし、自分はまだ普通の選手だと思うので。もう1段も2段も上の選手になるためには所属チームでもっと、もっとやらないといけないです。そして、それを続けていくことで個人としてもステップアップして、チャンピオンズリーグのようなレベルの高い大会に出ていけるようになりたいです。それがW杯の活躍にもつながるはずですから。

　色々なタイプのFWがいますけど、しっかりと得点を取る、数字を伸ばすことを一番に考えてやっていきますよ。『FWは点を取らないといけないんだ』と言えるところにこのポジションの醍醐味がありますから。そこに向かってしっかり実力を伸ばしていきたいです」

　ただ、こうもつけ加えた。

「もちろん、守備のプレスやポストプレーの質も上げながらね」

　何よりも大切なのはゴールを決めること。その考えはブレないが、成長することに貪欲なのが小川だ。その神髄がその一言には表れていた。

小川不在で見えたクロスとCK時の“あるデータ”

　周知の通り3月の最終予選2試合では、コンディション不良により小川はメンバーに選ばれなかった。そして25日のサウジアラビア戦では、29試合ぶりに日本が無得点に終わった。

　じつはこの2試合で、クロスからのシュート率に著しい低下が見られた。

　昨年の6試合平均：クロス20本→約31％
　3月の2試合平均：クロス21本→約22％

　また、昨年は少なくとも2試合に1回のペースで、CKから直接ヘディングで決めるゴールが生まれていた。計4ゴールのうち2つは小川が決めたものだ。しかし小川不在の今回は、CKからヘディングで叩き込むゴールは生まれなかった。

　3月シリーズは小川が不在だったからこそ――現在の代表で彼が果たす役割の大きさが浮き彫りになったことを最後に付け加えておく。〈第1回からつづく〉

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