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日本代表W杯への課題“クロスからの決定力”が異様に高い未招集FW「上手くハマってる」「“ある準備”を知ること」小川航基27歳が語るヒケツ
posted2025/03/27 11:52

2024年11月のW杯アジア最終予選アウェーでの中国戦、小川航基はゴールを奪って久保建英と喜ぶ
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ミムラユウスケYusuke Mimura
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VCG/Getty Images
選手権でPK2度失敗後の涙…それ以降の事実とは
小川航基は現在所属するNECナイメヘンのエースとして、PKキッカーを任されている。海外で大役を任されるのはそれだけ価値のあることなのだが、彼とPKの関係を語るとき、多くの人が思い出すのが高校時代のラストプレーだ。
2016年1月3日。神奈川の名門・桐光学園のエースとして全国高校サッカー選手権に出場した小川は、3回戦で青森山田と対戦した。しかし、リードして迎えた後半19分に得たPKを小川は決め損ねてしまった。その後、怒涛の反撃を受けて同点に追いつかれ、PK戦へもつれ込んだ。そして、小川が5人目のキッカーとして失敗して、敗退した。
誰もが認めるエースでありながら1試合で2つのPKを外した小川。目に涙をためて沈痛な面持ちを浮かべながら、プロになってからの巻き返しを誓ったエピソードが有名だ。
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「あの悔しさがあったからプロに入ってからメチャクチャPKの練習をしたかというと、そんなことはないかもしれません。ただ、あの経験も今に関係しているような気はしますけどね。あんな外し方をして選手権が終わってしまいましたけど、あれからPKを一度も“外してない”ので」
プロに入ってからの小川はPK戦を3回経験し、試合中のPKも15本蹴っているのだが、計18本全てを成功させている。
「『PKは運で決まるものではない』と僕は思っているので。PKで大事なのは技術です。やはり、キックが上手い選手が高い確率で決めると思いますね。もちろん、メンタルの強さも必要な要素ですけど。だから、PKは僕の得意なプレーの1つでもあるんです」
第2回で触れたジュビロ磐田時代、GK八田直樹とのシュート練習は、PKを外さない男・小川の礎を築いてくれた。そもそも、あの練習は、ストライカーとしての必要な技術や能力を磨こうとして始めたものだった。ただ、あの時間はそれ以外のものも、もたらしてくれた。
「GKってある意味で、難しいポジションです。試合に出られない時期が長く続くこともあるし。ただ、その中でしっかりと準備していて、いざ試合に使われた時に結果を残す姿を僕は見てきましたから」
不遇のジュビロ時代に学んだ先輩の姿
あの経験はサッカー選手としての視野も広げてくれたと断言できる。だから、小川はこう続ける。