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「レアルは無礼」「“事前情報”の圧が特に激しい」バロンドール表彰式“ボイコット騒動”にフランス誌関係者が反論「モラル面でも敗北だ」 

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田村修一

田村修一Shuichi Tamura

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photograph byREUTERS/AFLO

posted2025/02/03 17:28

「レアルは無礼」「“事前情報”の圧が特に激しい」バロンドール表彰式“ボイコット騒動”にフランス誌関係者が反論「モラル面でも敗北だ」<Number Web> photograph by REUTERS/AFLO

ロドリがバロンドールに輝いた一方で、2位ビニシウス、3位ベリンガムのマドリー勢は表彰式を欠席した

「レアルもバルサもミランも、受賞者が表彰式に出席するために、自費でプライベートジェットを用意してくれる。いち雑誌のためにとても名誉なことだ」

 しかし21世紀に入り、さらにFIFAと共催(2010~2015年、FIFAバロンドール)するようになるころから、情報の管理が徹底されていく。あるとき編集部を訪ねると、バロンドール専用の部屋が設けられていた。バロンドールに関するすべての作業はその部屋の中でおこなわれ、編集長と担当者しか出入りができない。投票結果も受賞者も、インタビューを担当する記者とフォトグラファー以外は、編集部員にすら知らせない。それでもロナウドは、メッシが受賞した年の表彰式を欠席した。

レアルは無礼にも価値を踏みにじることを選んだ

 いったい彼はどうやって結果を知ったのか。

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「表彰式を欠席することで、レアルは投票で敗れただけでなくモラルの面でも敗北を喫した」とレキップ紙サッカー部門のキャップであり、フランス・スポーツジャーナリスト組合(UJSF)の会長を務めるヴァンサン・デュルックは同紙に書いている。さらに彼はレアルを痛烈に批判する。

「レアルは無礼にも勝者を尊重することで成り立っているこのスポーツ(サッカー)の価値を踏みにじることを選んだ。将来、レアルが同じ敬意を他から望むのは難しいだろう。だがそれも当然で、サッカー全体の利益には無関心なレアルは、CLではなく対戦相手を恣意的に選べ、自分たちのコントロールが容易なスーパーリーグを選ぼうとしているのだから」

 ◇ ◇ ◇

 そのような経緯で選ばれたバロンドールだが、2010年代からの十数年間はリオネル・メッシとクリスティアーノ・ロナウドの2人が“ほぼ独占”のような状況だった。しかし今回はその2人に加えて過去の受賞者が候補者リストに名を連ねないという状況になったことを、ガルシアはどう感じているのだろうか。〈つづく〉

#2に続く
「彼らが再び受賞するとは思わない」メッシでもC・ロナウドでもモドリッチでもなく…“バロンドール投票改革”ウラ側を主催編集長が明かす

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