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オリンピアン・藤森太将と青木玲緒樹が「ニップン 食と水泳教室」での熱血指導で伝えた「子どもたちの身体づくりに本当に大切なこと」

posted2026/04/23 11:00

 
オリンピアン・藤森太将と青木玲緒樹が「ニップン 食と水泳教室」での熱血指導で伝えた「子どもたちの身体づくりに本当に大切なこと」<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

水泳教室後には参加者全員で記念撮影が行なわれた

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石井宏美

石井宏美Hiromi Ishii

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Kiichi Matsumoto

すべての人々に「食」を通じて健康と笑顔を届ける株式会社ニップンが、日本水泳連盟と「食と水泳教室」を開催。藤森太将(ひろまさ)、青木玲緒樹(れおな)がゲスト講師として、未来を担う子どもたちに競技力向上の鍵となる要点を説いた。水中の技術だけではない、成長期の子どもたちに届けたい本質とは──。

 3月1日、群馬のスウィンあざみスイミングスクールで、株式会社ニップンと公益財団法人日本水泳連盟の共催による「ニップン 食と水泳教室」が開催された。

 2014年から競泳、アーティスティックスイミング、水球、2017年からは飛込、オープンウォータースイミングを加えた、水泳日本代表のオフィシャルスポンサーを務めるニップンは、食と密接にかかわるスポーツ分野に注目し、子どもたちへの食育活動を継続的に取り組んできている。2022年からは「食と水泳教室」を実施し、オリンピアンの経験に基づいて成長期の子ども向けに栄養バランスや食の大切さを学ぶ食育教室と、オリンピアンから直接指導を受ける水泳教室をセットにし、子どもたちに食べることの大切さを伝えてきた。

 8回目となる今回はゲスト講師として2016年リオデジャネイロオリンピックの男子200m個人メドレーで4位入賞を果たした藤森太将と、2021年東京、2024年パリと2大会連続で100m平泳ぎに出場した青木玲緒樹、2人のオリンピアンが登壇し、同スクールに通う未来のオリンピアンを夢見る6~18歳の約50名を指導した。

 第1部の「食育教室」では、競技に関する食と身体づくりをテーマに、競泳における食事面でのコンディショニングや何をどのように食べるのかなど、オリンピアン2人が経験を語りながら講義。ともに、「子どもの頃は好き嫌いが多くて、エビやピーマン、ブロッコリーも嫌いで、食事に出てくると避けていました」(青木)、「あまり量を食べられなかったので、いつも食事に1時間ほどかかっていました」(藤森)と、食が細く野菜が苦手だった小学生時代の経験を率直に語った。

 それでも「練習量が増えるにつれて、食べないと身体が持たなくなってきたので食べられるようになりました」と藤森は成長とともに食事の大切さを実感。また、小食でもあった青木も「小中学生の頃から海外遠征に参加していましたが、海外では食べられるものも限られているので、何でも食べないと頑張れないということを痛感しました。食わず嫌いの面もあったので、まずは食べてみることから始めたら、いろいろ食べられるようになりました」と徐々に克服。自らの成長期の食事やオリンピックの選手村での体験談、試合前後の食事など、競技力向上を支えた食事や栄養管理の重要性を語り、アドバイスを送った。さらに、子どもたちからの質問に2人が答える場面や、プールでの指導を前に参加者たちの年頃に行なっていた練習法にも言及した。

「小学生の頃は練習前に外を走ったりマット運動をしていました。泳いでいるときにきれいな姿勢を維持するため、腹筋トレーニングも大切にしていましたね」(青木)

「家からプールまでは7kmほどあったので、行き帰りはいつも走っていました。ほかにもストレッチもしていましたし、腹筋や背筋、サーキットトレーニングなど、思いつくかぎりすべてのことをやっていました」(藤森)

 2人の話を聞き漏らすまいとノートに書き込む子どもたちの姿が印象的だった。

子どもたちが実感した成長と意識の変化

 続く「水泳教室」では、それぞれが専門とする個人メドレー(藤森)、平泳ぎ(青木)の上達のヒントを伝授。フォームやキックのポイントなどを丁寧に指導した。2人から直接アドバイスを受けた子どもたちは、あっという間に吸収していく。泳ぎの変化を実感しながら、意欲的に練習に取り組んでいた。真剣ながらも、プールでは笑顔が絶えなかった。そんなシーンからも子どもたちの充実ぶりがうかがえた。

 教室に参加した碧空(かなた)さん(高2)は「選手として実力を向上させるためには、より食事が大切になると知ることができ、貴重な時間になりました。私も小食なので練習前後に補食を使ってこまめに栄養を摂取していきたいです」と語った。また心菜(ここな)さん(高1)は「食品に含まれる栄養素も考えながらバランスの取れた食事をしていきたいです。水泳ではより基礎を大切にしながら、細かいところまで意識して練習に励んでいきたいです」と目を輝かせていた。

 オリンピアンからの直接指導は子どもたちにとって特別な体験となったが、食の大切さを知る2人にとってもかけがえのない経験になったようだ。

「身体は食べたものからしか作ることはできないので、より質の高いものを適切なタイミングで摂ることが大事だと強く伝えたかったです。水泳や食事に限らず、パフォーマンスを上げるやり方は一つではありません。いろいろ試しながら、自分に合ったものを見つけてほしいですね」(藤森)

「中学3年生から大学2年生までの5年ほどの間、私は競技に集中するあまり、食事に対してはそれほど意識が向いていませんでした。その時期は水泳でベストが出ず、伸び悩んでいました。その頃に競技以外の部分にも目を向けて勉強し、意識できていたらきっと変わっていたはずと後悔しているところもあるんです。だからこそ、今、成長期にある子どもたちには食の大切さを知ってほしかったですね」(青木)

 春は新しい季節とともに新年度が始まる。環境が変わり、新しい仲間に出会う時期でもある。「食と水泳教室」はこれからも子どもたちの成長に寄り添うように、その活動は息づいていく。

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