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「レアルは無礼」「“事前情報”の圧が特に激しい」バロンドール表彰式“ボイコット騒動”にフランス誌関係者が反論「モラル面でも敗北だ」 

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田村修一

田村修一Shuichi Tamura

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photograph byREUTERS/AFLO

posted2025/02/03 17:28

「レアルは無礼」「“事前情報”の圧が特に激しい」バロンドール表彰式“ボイコット騒動”にフランス誌関係者が反論「モラル面でも敗北だ」<Number Web> photograph by REUTERS/AFLO

ロドリがバロンドールに輝いた一方で、2位ビニシウス、3位ベリンガムのマドリー勢は表彰式を欠席した

「2019年はフィルジル・ファンダイクがリオネル・メッシに迫ったが、あと一歩届かなかった(メッシ686ポイント、ファンダイク679ポイント)。2006年は、ジネディーヌ・ジダンの退場事件(W杯決勝でマルコ・マテラッツィに頭突きをした)がなければ、カンナバーロではなくジダンが受賞していただろう」

 サッカーの進化とともに、メディアの見方も変わったということなのだろうか。「それも多少はあるが」と認めたうえで、ガルシアはこう続けた。

「事前の予想とは異なり、投票はロドリとビニシウスの一騎討ちになった。本命視されたビニシウスが敗れたのは、レアルの選手間で票が割れたことが大きかった。ジュード・ベリンガムとダニ・カルバハルが3位と4位、トニ・クロースも9位に入った。4人もトップ10入りしたのは、昨季がレアルのシーズンであったことを示す証拠に他ならないが、票の分散にはビニシウスもジレンマを感じただろう」

レアル幹部「敬意を払われない場所に行く必要がない」

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 驚かされたのは、レアルがパリでの表彰式への出席を、当日午後にボイコットすると決めたことだった。50人の大所帯でシャトレ座を訪れる予定だったレアルは、バロンドールこそ逃したもののヨハン・クライフトロフィー(最優秀監督賞、カルロ・アンチェロッティ)、最優秀クラブ賞(レアル・マドリー)、ゲルト・ミュラートロフィー(最多得点者賞、キリアン・エムバペ。該当シーズンの所属はPSG)を獲得し、式典の主役となるハズだった。

 クラブのある幹部は、欠席の理由をこう語った。

「選出基準に即してビニシウスが選ばれなかったのであれば、同じ基準でカルバハルが選ばれて然るべきだがそうはならなかった。それはバロンドールが、レアルに敬意を表していない証に他ならない。レアルが出席しないのは、敬意を払われない場所にいく必要がないからだ」

情報を求めて圧力を…特にレアルは激しかった

 受賞者不在でおこなわれた最優秀監督賞、最優秀クラブ賞のトロフィー授与は、奇妙な雰囲気に包まれた。さらに奇妙であるのは、レアル関係者が事前に投票結果を知っていたことだった(今回から規則が改訂され、受賞者にも事前通告は一切しなかった)。彼らは一本の電話で、ビニシウスの受賞がないことを知らされたという。過去にもクリスティアーノ・ロナウドが、メッシが受賞した年の表彰式を幾度か欠席したことがあったが、それはロナウド個人の判断であってクラブをあげてのボイコットとは意味がまったく異なる。

 情報が事前に漏れることはないとガルシアは言う。

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