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野球のぼせもんBACK NUMBER
ソフトバンク史上最高のドラフトで“まさかの指名”「千賀滉大や甲斐拓也は質問攻めしていた」育成2位の男が語る“出世組との差”「三軍生活が悔しくて…」
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byJIJI PRESS
posted2024/12/30 11:03
「正直、指名されると思ってなくて。だからドラフトの日、監督からは念のため学校に残っておくように言われてたんですけど、僕は指名ないだろうと勝手に決めつけて帰っちゃったんです。だけど、一緒にいた友達が電車の中で、携帯でチェックしていたらしく、自分ちの最寄り駅が近づいた頃に『おい大樹、オマエかかっとるよ』と言われて。それで知りました」
育成指名ゆえ時間は20時近かったこともあり結局そのまま帰宅。案の定、監督から電話がかかってきて「プロに指名されたのに、おめでとうより先にこっぴどく叱られたんですよね」と大笑いして頭を掻いた。
どこか楽観的で少しのんびり屋なのは、南国生まれの気質だろうか。
「自信はすぐに消えた」
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だがしかし、プロ野球選手としてスタートを切った2011年1月の新人合同自主トレで、中原はそれまでの人生で感じたことのない衝撃を受けた。
「なんだ、この球は?」
野手同士で行ったキャッチボール。2人一組でパートナーとなったのは“育成5位”の牧原だった。
「マッキー(牧原)が投げるボールが凄かった。あんな伸びる球は見たことがなかった。同じ高校生で、しかも野手なのに、まるでピッチャーのような球を投げてくる。バッティング練習も一緒にやりました。パワーでは負けないと思っていたのにマッキーのスイングは強かった。だから結構飛ぶんです。『あんなに小っちゃい体で、なんで?』って。僕も鹿児島ではソコソコ注目されて、その中では上のレベルでやってきたつもりでしたが、隣の県(牧原は熊本・城北高校出身)にこんなヤツがいたなんて……と。じゃあ全国から集まっている周りの人たちはもっと凄いわけで、もう自信とか、いきなり無くなりましたね」
さらに同期の中には、支配下のドラフト2位に柳田悠岐というとんでもないモンスターもいた。