「なんで打てないの？」

　試合後の若月に、直球すぎる質問をぶつけたこともある。立花は「冷静に考えるとすごく失礼なんですけど、まあ、あの、家庭内ヤジみたいなもので……」と恐縮しながら、その後の微笑ましいやりとりを教えてくれた。

「だって、向こうはプロなんだよ？」

「あんたもプロでしょ！」

「たしかにそうかぁ……」

キャラスタンプで“反撃”？

　若月によるささやかな反撃は、妻が演じるキャラクターのLINEスタンプを購入して送りつけること。「このアニメ見たよ、とか報告してくるんですよ。言わなくていいのに」と立花は照れくさそうに微笑んだ。

　シーズン中は若月が遠征で家を空けることも多いため、立花は「若月家のみなさんの力」も借りながら仕事と育児に奮闘している。そしてシーズンオフになれば、若月にも野球以外の大切なミッションが待っている。

「シーズン中はとにかく娘に会いたくて仕方なかったみたいです。つい先日も予防接種に連れていってもらいました。最初のころは『どうしていいかわからない』って感じでしたけど、いまは“パパ”を頑張ってくれていますね」

　プロ10年目、結婚4年目、そしてパパ2年目の若月が飛躍を遂げた2023年シーズン。立花にとって特に印象的だった試合は、夫とバッテリーを組んだ山本由伸が2年連続のノーヒットノーランを達成した9月9日のロッテ戦だという。試合後、オリックスの扇の要は妻にどんな電話をかけたのか。そして、ネットミーム化した“あのフレーズ”についても話を聞いた。

＜後編に続く＞

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