9回のマウンドに上がるときには、なぜかDeNAの山﨑康晃投手の登場曲「ケルンクラフト400」が流れ、スタンドは「ヤ・ス・ア・キッ！」のコールと共に“ヤスアキジャンプ”で揺れた。

「エッ、オレの（テーマ曲）じゃないぞってなりました。『シ・ミ・ズッ！』でもなくて人も違うし（笑）」

　そんな勝手の違う登場だったが、立ったのは慣れ親しんだ本拠地のマウンドだ。3番からの中軸打線を3者連続の空振り三振。最後は150kmの真っ直ぐでT・ケネリーを捩じ伏せて女房役の坂倉将吾捕手とガッチリ握手を交わした。

「全部が全部、僕の100％ではなかったですけど、ある程度は操れたかなと思います。最高の結果だったので良かった。バンテリンドームだから温かい声援を受けながらマウンドにいられたので、すごくありがたかったし、声援が大きく感じたので、期待に応えたいと思いました」

　清水は日の丸を背負った地元“凱旋登板”にこう笑顔を見せた。

1次ラウンド突破は“狭き門”に

　これで投手陣の役割も明確になり、あとは起用された選手たちが、その役割をしっかり果たしてくれることだけだ。

　連覇を狙うチームにとって、まずは1次ラウンド突破が最初の目標になる。しかし過去2大会は3グループで4チームから2チームがスーパーラウンドに進出できたが、今大会からは2グループ6チームから、それぞれ2チームが予選を突破する“狭き門”に変更になっている。1つの敗戦の意味が、より重くなるということだ。

「ああやって（小刻みに）点を取っても、ホームラン、ホームランで一気に追いつかれるような形になったのも国際大会だと思いますので、取れる時にきっちり点が取れた結果かなと思う」

　試合後の会見で大会初戦の勝利を振り返った井端監督は、台湾での戦いに向けて改めてこう気持ちを引き締めた。

「初戦を勝ったということで非常にいいスタートが切れていると思います。台湾に行ってからも変わらずに1戦1戦、1球1球、1打席1打席やるだけ。このまましっかり続けてもらえればいいかなと思います」

　まずは宿敵・韓国戦でどんな戦いができるか。セットアッパートリオから大勢への必勝パターンへと繋げられれば、勝利の確率はグッと上がるはずである。