プロ野球亭日乗BACK NUMBER
「エッ、オレの(テーマ曲)じゃないぞ」侍ジャパン初戦、清水達也の登場で“あの投手”の曲が…「最高の結果だったので良かった」<韓国戦へ向けて>
posted2024/11/15 11:04
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
SANKEI SHIMBUN
「プレミア12」で連覇を狙う日本代表「侍ジャパン」は、1次リーグB組初戦でオーストラリア代表を9対3で破り快勝スタートを切った。
日本は先発の井上温大投手(巨人)が6回途中まで5安打2失点で8つの三振を奪う快投。打線も1回に3番・辰己涼介外野手(楽天)の犠飛で先制すると、小刻みに追加点を奪った。2点差とされた7回には森下翔太外野手(阪神)の二塁打から牧秀悟内野手(DeNA)のタイムリー安打で再度、突き放すと8回には森下、栗原陵矢内野手(ソフトバンク)の連続二塁打で3点を奪って試合を決めた。
5点リードも一瞬、不穏なムードに
白星発進した日本は舞台を台湾に移して1次ラウンド残り4試合を戦う。15日の台湾での初戦はいきなり宿敵・韓国との日韓戦で幕を開けることになる。
初戦の豪州戦は9対3の圧勝劇。しかし一瞬、不穏なムードが流れたのが、日本が5点をリードして迎えた6回だった。
5回までほぼ完璧に豪州打線を抑えていた先発の井上が9番のU・ボヤルスキー外野手にセンターオーバーの特大本塁打を浴びて初めての失点を許す。さらに続く1番に座るのは、今年のMLBドラフトの全米1位でクリーブランド・ガーディアンズに指名されたT・バザーナ内野手。そのバザーナにも右前に運ばれたところでベンチが動いた。
井上から2番手の横山陸人投手(ロッテ)へのスイッチ。しかしその横山が2死から4番のR・ウィングローブ内野手に2ランを浴びて2点差に迫られてしまった。
何が起こるか分からない国際大会。試合の流れが一気に相手に傾いてしまった瞬間だった。しかしその流れを、もう一度、日本へと手繰り寄せたのが救援陣の力投だった。この日のキーマンは3番手で7回のマウンドに上がった藤平尚真投手(楽天)だ。
「(豪州代表の打者は)真っ直ぐには日本人より絶対に強いですし、そこはコースをしっかり。特に僕は高さ、高く投げるなら高く、低く投げるなら低くという意識で、フォークは低く、真っ直ぐは高めにふかすイメージで投げようと思っていた。それがしっかり実現できたことが良かった」
こう語った藤平が見せた圧巻の三者連続の空振り三振。先頭のD・ジョージ内野手を高めのストレートで追い込むと、最後は狙い通りに低めのフォークで空振り三振。続くA・ホール外野手はフォークの連投で追い込むと、最後も内角低めに落として空振りを奪った。そして最後はR・パーキンス捕手。真っ直ぐで追い込んでやはりフォークで仕留めた。
井端監督から「ありがとう!」
「代表チームでの自分の役割というのは分かっているので。勝っている状況でいったら繋ぐ仕事だし、負けているときにいったら、いい流れを持ってくることだと思っている。それが中継ぎの仕事だと思ってやっています」
その言葉通りの仕事に、ベンチに戻った藤平にすぐさまこんな声がかかった。