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「エッ、オレの(テーマ曲)じゃないぞ」侍ジャパン初戦、清水達也の登場で“あの投手”の曲が…「最高の結果だったので良かった」<韓国戦へ向けて>
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph bySANKEI SHIMBUN
posted2024/11/15 11:04
プレミア12の初戦でオーストラリアに勝利して握手を交わした侍ジャパンの清水達也投手と板倉将吾捕手
「流れを止めてくれてありがとう!」
井端弘和監督だった。
「もちろん先発投手も大事ですし、クローザーも重要。でも、国際大会はひょんなきっかけであっという間に流れが変わってしまう。その怖さは選手時代から経験しています」
以前に井端監督が中継ぎ投手の重要性をこう語っていたことがある。
「そう考えると実は中継ぎを任せる投手が、試合の流れという中では、非常に大事な役割を担うと思うんですよね」
セットアッパーを誰に任せるのか
今回の侍ジャパンの先発陣にはこの日の井上に高橋宏斗投手(中日)、戸郷翔征投手(巨人)、早川隆久投手(楽天)、才木浩人投手(阪神)が揃う。第2先発には隅田知一郎投手(西武)、北山亘基投手(日本ハム)に、豪州戦で先発した井上も回る可能性がある。そしてクローザーは大勢(巨人)という布陣だ。そこで大事なのは大勢に繋いでいくセットアッパーの存在で、そのポジションを誰に任せるのか。その答えが見えたのがこの豪州戦だった。
藤平の後を継いで8回のマウンドに上がったのは左腕の鈴木翔天投手(楽天)で、9回は清水達也投手(中日)が締めた。
「スーパーラウンドに入ったらある程度、投げる場所というのが自分で分かった上で準備した方がいいと思いますが、1次ラウンドはこの3人で7、8回を回していくことになると思います。相手の打線を見ながら3人をうまく使っていくのが、勝ちパターンの継投になると思う」
こう語るのは吉見一起投手コーチだった。
この日の豪州打線でベンチが最も警戒していたのは、やはり全米1位指名の1番・バザーナ。そこから逆算して7回に藤平、左打ちのバザーナに打席が回る8回に左の鈴木を当てて、9回に清水という順番が決まった。
なぜか「オレのじゃない」登場曲が…
8回にマウンドに上がった鈴木は、期待通りに注目のバザーナを最後は150kmの真っ直ぐで空振り三振に抑えて3人でピシャリ。そして6点差の場面で、慣らし登板の意味もあって“クローザー”の役割を果たしたのが清水だった。