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大学野球PRESSBACK NUMBER
ドラフト裏話「指名されないかも」名門・早大で静まり返った大教室→安堵の声…楽天5位指名のスラッガーに監督「宗山よりいいと思う」
text by
清水岳志Takeshi Shimizu
photograph byHideki Sugiyama
posted2024/10/29 17:46
楽天から5位指名を受けた吉納翼。早大では副将も務めたスラッガーで、非凡な潜在能力を持つという
十河は吉納のひたむきさに驚かされたという。
「彼は研究熱心で聞きたいことをノートに書いてきたり、色んなことを吸収しようという熱量があった。ストイックで、あの成長は努力の賜物。ほんとによく練習している」
ジムに通ってくることは多くないというが、お互いに動画を送りあったり、LINEで状態のチェックをしているそうだ。
冬から春にかけて打球速度が5キロ速くなった。この数字が150キロを超えるのは、大学生でもトップクラスだ。夏から秋にかけては「投球を待つ構え、見方を正しい位置にして、安定感がでて確率が上がった」(十河)。
吉納本人の解説はこうだ。
「悪い時は右わき腹を閉じてしまって、スイングすると上下動が激しかったんです。スイングを地面と平行にしたいので、そのために頭と背中の角度を一緒にして、バットがレベルに入ってくるようにしました」
大谷翔平の動画を参考に…「その通りにホームラン」
この秋、十河は吉納に「ストレートを引き付けて打ってみたら?」とアドバイスをしたという。驚いたのは、それを直ぐに体現したことだった。
「ドジャースの大谷翔平選手がストレートを自分の身体寄りで打っているんです。その動画を送ったら、その通りに東大戦で3ランを打って。吉納、やばいなと思いました(笑)」
本人は法政戦でドラフト候補だった左腕・吉鶴翔瑛から打ったレフトへの決勝3ランが印象に残っている。
「吉鶴はカットボールが良くて、ストレートも速くなっていました。だから内角は捨てて、2ストライクまでファールしながら外に来るボールを待っていました。真っすぐで押してきたので、『これで抑えたいんだな』と。カットボールがボール球になって、『次は真っすぐが来るな』と思い、読み通りに外角に甘く来た球を捉えることができました」