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大学野球PRESSBACK NUMBER
ドラフト裏話「指名されないかも」名門・早大で静まり返った大教室→安堵の声…楽天5位指名のスラッガーに監督「宗山よりいいと思う」
text by
清水岳志Takeshi Shimizu
photograph byHideki Sugiyama
posted2024/10/29 17:46
楽天から5位指名を受けた吉納翼。早大では副将も務めたスラッガーで、非凡な潜在能力を持つという
吉納は前向きで数字の目標も大きい。これを十河は『吉納ワールド』と表現する。
「誰かに負けると思ってない。メジャーの選手を参考にアドバイスしたりするんですが、『今はまだまだですが、絶対にメジャーに行けると思っているんで頑張ります』と。本気でそうなろうと貪欲に努力している。向上心が彼を引き上げているのかなと。可能性に蓋をしないですから。大谷選手の思考とも似ているのだと思います」
吉納本人もメジャーへの憧れを認める。
「3年生の春、アメリカ遠征でドジャースタジアムとエンゼルスタジアムに行って、『こういう環境でプレーしたいな』とシンプルに思いました。メジャーは地球上のトップレベル。早稲田の先輩である青木(宣親)さんも行っていて、自分もいつか目指したいなと思っています」
大学選手権準決勝、秋の法政戦も、ここぞという場面での3ランだった。十河は「役者だな」と感じるときがあるという。
「周りが期待しているシーンをわかっていて、そこで結果を残している。“持っている”感じはします」
空振り三振でも、堂々とベンチに戻る。話していても、弱気なことは言わない。そんなメンタリティもプロ向きとみる。
秋季リーグ優勝は目前だ。春はチームメイトの尾瀬雄大が首位打者をとり、主将の印出太一も、山縣もベストナインをとって、この上ない喜びを感じたという。
明暗分かれた「2人のスラッガー」…この先は?
印出と吉納。
中学のボーイズリーグからしのぎを削りあって、約10年が経った。「お互いに早稲田に入ることになって、心強かった」と口をそろえる。一方で、このドラフトではその明暗がくっきりと分かれる形になった。それでも2人は、残された目標に向けて邁進する。
何としてもリーグ戦優勝へ。そして春は逃した日本一へ――明治神宮大会でも優勝したい。その先に今年は台湾遠征があるという。高校2年の時にも遠征した思い出の地に再びいくことは、できるだろうか。