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ドラフト裏話「指名されないかも」名門・早大で静まり返った大教室→安堵の声…楽天5位指名のスラッガーに監督「宗山よりいいと思う」

posted2024/10/29 17:46

 
ドラフト裏話「指名されないかも」名門・早大で静まり返った大教室→安堵の声…楽天5位指名のスラッガーに監督「宗山よりいいと思う」<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

楽天から5位指名を受けた吉納翼。早大では副将も務めたスラッガーで、非凡な潜在能力を持つという

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清水岳志

清水岳志Takeshi Shimizu

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Hideki Sugiyama

 今年も様々なドラマを生んだプロ野球のドラフト会議。1位指名選手の笑顔が華やかに報じられる一方で、厳しい“指名漏れ”の現実に直面する選手もいる。東京六大学の名門・早稲田大から、そんな明暗が分かれた2選手の「テレビに映らない」現場をレポートする。《全2回の2回目/最初から読む》

 ドラフト会議が始まってから、早大の会見場になっていた大教室は沈黙が続いていた。

 報道関係者など40人ほどが集まっていたが、会議の模様を映し出す映像だけがスクリーン上で淡々と流れていた。

「指名されないかも――」

 40人の中にはそんな不安が出てきていた者もいたように思う。

 1位入札から1時間30分以上が経ったころ、日本ハム5位指名で山縣秀の名前が呼ばれた。女子マネジャーだろうか、安堵の声が聞こえる。そして3球団空いて、楽天5位で吉納翼の名前も呼ばれた。

「まずはホッとしているのが一番です。正直諦めかけていましたが、最後まで信じて待ち続けて良かったと思っています」

 緊張感が解け、安心した表情で吉納は第一声を吐き出した。

早大監督が「将来、とんでもないバッターになります」

 六大学屈指の長距離ヒッターは、念願のプロへの扉を開いた。

 吉納のリーグ戦デビューは2021年。入学早々、1年春の3試合目だった。小宮山悟監督が代打で起用し、試合後の会見でこう言ったことを覚えている。

「吉納は将来、とんでもないバッターになりますよ」

 2019年の春のセンバツ。愛知・東邦高は準決勝で兵庫・明石商高と当たった。2年生ながら主軸を打っていた吉納は、この年の高校生投手ナンバーワンと言われた中森俊介(現ロッテ)から、左中間にホームランを叩き込んだ。

「たまたまテレビで見ていて、逆方向のスタンドに放り込んですごいなと思った」

 これが、小宮山監督が吉納の名前を脳裏に刻んだ最初のシーンだ。

【次ページ】 「宗山よりある意味、いいと思います」

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