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ドラフト裏話…六大学の名門・早大の主将と副将「分かれた明暗」なぜ“大学日本代表のキャプテン”が指名漏れに? 監督が語っていた「ある懸念」
posted2024/10/29 17:45
text by
清水岳志Takeshi Shimizu
photograph by
Hideki Sugiyama
印出太一と吉納翼。
ともに22歳になる早稲田大の今年度の主将と副将はともに愛知県で育った。中京大中京出身の印出主将と東邦出身の吉納副主将だ。
早大はこの春、7シーズンぶりに六大学野球リーグ戦で優勝を飾った。印出は捕手として、吉納は外野手として、愛知の2人が先頭に立ってチームを引っ張ったと言っていい。
試合の最初と最後の挨拶で、印出が先頭(審判側)に、吉納を最後尾(スコアボード側)にして整列する。
「今年は2人でみんなを挟む形で並んでいます」と印出がいう。「印出・吉納丸」という船のイメージだろうか。奇しくも寮の部屋も隣同士だ。
春シーズン、優勝を決めたゲームの直後に2人が歩み寄った。
「ようやくだな」
頬を緩めた瞬間だった。
名門の主将と副将…ドラフトで分かれた明暗
そんな2人はともにプロ志望届を出して、プロ入りを目指していた。だが、10月24日に行われた運命のドラフト会議では、明暗が分かれることになった。
吉納は楽天から5位指名を受け、印出は指名されなかったのだ。
早大では指名漏れになった選手は当日会見を行わない。印出がその瞬間、どんな表情で結果を受け止め、どんな心境だったのかを知る由はない。
なぜ、印出は指名を見送られたのだろうか? 小宮山悟監督が、ドラフト前に印出の課題を語っていたことを思いだす。
「肩の強さ、セカンドへのスローイングなどドラフトで指名される可能性のある選手としてはちょっと心もとない。今から練習して強肩になれるわけではないからねぇ」
早大でレギュラーに定着した2年時は、走られるとあっさり盗塁を許すことがあった。本人にもドラフト前の取材で率直にそのことを聞くと、「盗塁阻止率は学年ごとに上がっています。最近は盗塁企図数も減っていると思います」と強気の返答だった。そこには捕手として六大学の第一線で戦ってきたプライドが垣間見えた。