大学野球PRESSBACK NUMBER

ドラフト裏話…六大学の名門・早大の主将と副将「分かれた明暗」なぜ“大学日本代表のキャプテン”が指名漏れに? 監督が語っていた「ある懸念」 

text by

清水岳志

清水岳志Takeshi Shimizu

PROFILE

photograph byHideki Sugiyama

posted2024/10/29 17:45

ドラフト裏話…六大学の名門・早大の主将と副将「分かれた明暗」なぜ“大学日本代表のキャプテン”が指名漏れに? 監督が語っていた「ある懸念」<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

早大、大学ジャパンでもキャプテンを務めた印出太一捕手。まさかのドラフト指名漏れとなった

 1年では公式戦出場はなく、2年の春からプラン通りスタメンに収まった。そして3年からは4番に座るなど順調に成長を遂げた。

「今年の春のリーグ戦優勝は、印出の貢献度がかなり高い。全幅の信頼を置いている」

 小宮山監督は賛辞を惜しまない。

大学ジャパンでもキャプテンに…抜群の資質

 大学日本代表にも選ばれ、堀井哲也日本代表監督からキャプテンにも指名された。プラハ(チェコ)、ハーレム(オランダ)と続いた7月の両国際大会で、大学侍ジャパンを優勝に導いた。

 様々なチームでキャプテンに指名されるということは、その資質があるのは間違いないのだろう。本人に「キャプテンという立場は好きなのか」と聞いてみた。

「どうなんですかね。自分で作っていくことは好きかもしれない。中・高・大とやってきて抵抗感はなくて、そういう星のもとに生まれたのかなと(笑)。ありがたいことなんで、一生懸命にやらせてもらっています」

 ドラフト前、明大戦後に小宮山監督はこう言ってプロへの後押しをした。

「細かなところまで考えて、視野の広さも含めて抜群のキャプテンシーもあります。メンタルも含めて彼のリーダーシップを評価してもらえるのであれば、扇の要にうってつけ。任せていい選手だと思っています」

 城島健司(ソフトバンク→マリナーズ→阪神)と阿部慎之助(巨人)。打てるキャッチャーとして長くレギュラーを務めた。印出の目標とするキャッチャーだ。

「打撃も自信があります。その上でピッチャー陣も引っ張って、優勝に導くことがキャッチャーとして究極だと思っています」

 印出と話して、クレバーさを感じる部分が随所にあった。

 タイムリーを打った打席の狙いや振り返り、投手をリードするときの留意点など、自分の考えを淀みなく言葉にできるのだ。それは野球のテクニック以上の武器になることがある。

 上述のように、打撃力を備えたキャッチャーは人材不足だ。幹部候補という部分を加えれば、印出が見直される機会はまだまだある。

 卒業後は社会人の強豪チームで野球を続けるという。2年後、再びプロへ挑戦する印出は、どんな姿になっているだろうか。

<後編につづく>

#2に続く
ドラフト裏話「指名されないかも」名門・早大で静まり返った大教室→安堵の声…楽天5位指名のスラッガーに監督「宗山よりいいと思う」

関連記事

BACK 1 2 3
#早稲田大学
#印出太一
#吉納翼
#山縣秀
#小宮山悟
#東北楽天ゴールデンイーグルス
#北海道日本ハムファイターズ

プロ野球の前後の記事

ページトップ