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「阪神1位は“3年後の藤川球児”」「甲子園を沸かせた巨人3位は“順位縛り”がネック?」ドラフト全指名予想《阪神・ソフトバンク・巨人編》
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byNanae Suzuki
posted2024/10/23 11:23
阪神の1位指名予想は地元・兵庫の今朝丸裕喜(報徳学園高・185cm79kg)
【福岡ソフトバンクホークス 2024年ひとりドラフト指名選手】
1位 柴田獅子 18歳 投手 福岡大大濠高 180cm77kg 右投左打
2位 宇野真仁朗 18歳 遊撃手 早稲田実業 178cm78kg 右投右打
3位 箱山遥人 18歳 捕手 健大高崎高 176cm83kg 右投右打
4位 飯山志夢 21歳 外野手 立正大 176cm76kg 右投左打
5位 中村奈一輝 18歳 遊撃手 宮崎商業高 183cm73kg 右投右打
6位 有馬恵叶 18歳 投手 聖カタリナ学園高 191cm80kg 右投右打
7位 (選択終了)
【ソフトバンク 総評】
今さら言うまでもなく、今年のソフトバンクは強かった。
ペナントレースで2位・日本ハムに13.5ゲームの大差をつけ、続くクライマックスシリーズでも、ファーストステージでロッテを破って勢いに乗る日本ハムを圧倒。名実ともに、パ・リーグの覇者となった。
早々にリーグ優勝を決め、クライマックスシリーズまで長く実戦を離れる不利などもささやかれたが、ホークスにとってはモノの数ではなかったようだ。
ホークスの「5年後も強いチーム作り」…ドラフトの理想形?
本来、ドラフトとは、こうありたい。無言のうちに、周囲に向かってそう伝えているような「5年後も強いチーム作り」のためのドラフトになった。
高校生の俊英をズラリと並べた指名ぶり。その先陣をきったのが、地元・福岡の大器だ。柴田獅子(投手・福岡大大濠高)は、投・打両面にわたるスケールの大きさと野球センスの持ち主だ。
福岡大大濠高といえば、4年先輩にオリックス・山下舜平大という非常に大きな排気量のエンジンを搭載した逸材がいる。投げるパワーでは先輩が上を行くが、バッティングも含めた総合能力では、後輩のセンスが上回る。
投打にボディーバランスがすばらしい。145キロ前後の速球に舜平大ゆずりのパワーカーブと鋭いスライダーの「投」に、さして力感は感じさせないスイングなのに、驚くような飛距離を生む「打」。この1年の成長力が驚異的だ。
2位・宇野真仁朗(遊撃手・早稲田実業)、3位・箱山遥人(捕手・健大高崎高)。この夏の甲子園を沸かせた逸材たちをたて続けに指名して、ひたすら5年後に備えるホークス。この余裕が「強さ」だ。
宇野真仁朗は「バットマン」としての2位評価。ポジションは、三塁手、二塁手の可能性もあり、あくまでも近未来のホークス打線でクリーンアップの一角を担わねばならないスラッガーだ。長打力だけじゃない。今夏の甲子園、相手外野陣がフェンスを背負うほど深く守っているのを確認すると、三遊間を抜いてレフト前に転がし、あわてて前進してくる左翼手を尻目に、まんまと二塁打にしてみせた「茶目っ気」が野球センスとしてキラキラ光っていた。