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「ヤクルトが期待する左腕“2人の佐藤”」「“広島の至宝”宗山塁は地元カープがドラ1指名」ドラフト全指名予想《ヤクルト・楽天・広島編》 

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安倍昌彦

安倍昌彦Masahiko Abe

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photograph byHideki Sugiyama

posted2024/10/23 11:21

「ヤクルトが期待する左腕“2人の佐藤”」「“広島の至宝”宗山塁は地元カープがドラ1指名」ドラフト全指名予想《ヤクルト・楽天・広島編》<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

ドラフト目玉候補の西川史礁選手(青学大・182cm83kg)

 ちなみに佐伯鶴城高は、今年7月に亡くなられた阿南準郎元・カープ監督の母校でもあり、選手として、指導者として、カープに大きな貢献をした氏のこれ以上ないご供養にもなったと思われる。

 打てない、打てないとファンが嘆いた今季のカープ。言われっぱなしじゃ、しゃくだから、スカウト陣も必死で「バットマン」を探してきた。

 3位・佐々木泰(三塁手・青山学院大)は、ユニフォーム姿のシルエットからプレースタイルまで、堂林翔太内野手にそっくり。

 入学したばかりの1年春のリーグ戦でいきなり本塁打を連発、気の早い人から「3年後のドラ1候補」と評されたりもしたものだ。広角への長打力が持ち味、常勝・青学の中軸を打ち、生真面目な性格が無意識に「打率10割」をめざしてしまって、打に焦りを帯びることもあるが、プロで「ただの1人のルーキー」になり、肩の重荷がなくなったら、本来の伸びやかなスラッガーに戻れるはずだ。

 右の大砲候補を、もう一門。この選手、東京六大学や東都にいたら「上位」もあったかもしれない。それぐらいの潜在能力の持ち主だ。4位・渡邉悠斗(一塁手・富士大)の飛ばす能力は一級品。粗けずりな面はあるが、打って長打になりそうなボールは逃さず振り抜いて、45°ほどの角度で飛距離を作る。

 出場数がいちばん多いから「一塁手」と表記したが、柔らかいスナップスローとフットワークで三塁手もこなすし、堀越高(東京)ではレギュラーマスクでもあったが、渡邉選手の最大の長所は高校・大学7年間で一度も大きな故障をしたことのない屈強な体躯だ。実直でまっすぐな性格、今どきなかなかいない「たくましい青年」。カープのチームカラーにこんなにフィットした選手もいないだろう。

 大砲候補だったら、まだいる。広島商業高から広島経済大……正真正銘、「広島県産」じゃあ! 一人飛ばして、6位・寺本聖一(外野手・広島経済大)。高校時代からの願いが叶って、待望のプロ入り。いや、カープ入りだ。

 身長170cmで、ほんとに大砲候補? 脱がせてみれば全身筋肉の塊、ベンチプレス130kgの怪力で、飛距離130m級の一弾を時にはライナー性で飛ばしてみせる。プロ通算567本塁打を飛ばしたあの門田博光選手(元・南海ほか)だって、ちょうどこのぐらいのサイズだったことを言い添えておこう。

 50m5秒台の快足、遠投115mの強肩はいつでもカットできる高さで、ライト定位置からサードへ、ホームへ、まっすぐの軌道で投げられる高い実戦力を伴う。球歴から「ギータ(ソフトバンク・柳田悠岐選手)二世」などと報道されたこともあるが、安易にそういうことを言うと笑われる。あくまでも、これからの選手。今は、「小ギータ」ぐらいにしておこう。

広島5位指名は2024ドラフト「最大の隠し玉」

 そして、最後に取っておいたのが5位・岡本駿(投手・甲南大)だ。

 学生ゴルフ界ではかつて何人もの名プレーヤーを輩出した神戸の大学から、今年は長身の快腕が現れた。長いリーチの腕をしなやかに振り下ろして球持ちもよく、大学から始めた投手なのに、すでにアベレージが145キロ前後。チェンジアップ、ツーシームと、プロでも勝負球になりうる変化球もあって、重なる投げっぷりは、岩隈久志投手(元・近鉄、マリナーズほか)。

 実は、この投手「2024ドラフト最大の隠し玉」でもある。

<ロッテ・DeNA・日ハム編へ続く>

#3に続く
「DeNA1位は地元の“超大型”高校生左腕」「日ハム7位の隠し玉”プロ野球か漁師か”の超変わり種」ドラフト全指名予想《ロッテ・DeNA・日ハム編》

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