まだ足りない。まだ人材がいた。左腕の好素材を北海道から指名だ。

　4位・佐藤爽（投手・星槎道都大）。今年は「左腕の佐藤」が2人になった。

　高校時代（札幌山の手高）は全く無名ながら、大学の3年半で飛躍的に成長。その意味では、同大学の昨年のエースで、広島3位指名でプロに進んだ大型左腕・滝田一希と同じ道のりをたどることになった。

　140キロ台前半でも、ホームベース上で強さの衰えない生きた球質、スライダーの制球力も高く、「札幌」では無敵の快投を重ねるが、全国の舞台になると打ち込まれがちなのは「勝負球」のレベルだろうか。伸びる余地を残した投手だ。

　今季はレギュラー遊撃手・長岡秀樹が全143試合に出場して自己最高打率をマークし、すっかり立派な「ショートストップ」に成長したが、優秀な遊撃手は毎年のように補強しなくてはならない。遊撃手は他のポジションの適性も高いからだ。

　5位の筆頭候補に挙げていた宮崎商業高・中村奈一輝遊撃手は、残念ながら地元球団に先を越されたが、5位で俊足・強肩の遊撃手今坂幸暉（大阪学院大高）が獲れたのは今夏の初戦負けのせい。よもやの出来事に、部長クラスが「最後の夏」の確認をできなかった球団がほとんどだった。

「両打ち」とのことだが、入団後、本人、指導者との合意でどちらかに決めて、やはり俊足・強肩の3年目の成長株・小森航太郎選手との激しいサバイバルに臨む。

　屈強な体躯と2塁ベースに突き刺さるような鉄砲肩で、プロに挑戦する笹原愛斗（捕手・九州共立大）を6位に指名して、支配下ドラフトを締めたヤクルト。西武が6位・誉田貴之捕手（福岡工業大）の後に、「もう1人、この捕手を」と目論んでいたらしいが、西武の7位はグルーッと回って23人も後なのだからそれはちょっと「虫のよい話」ということだろう。

楽天は下位で「楽天パターン」の高校生指名

【東北楽天ゴールデンイーグルス　2024年ひとりドラフト指名選手】

1位　西川史礁　21歳　内野手　青山学院大　182cm83kg　右投右打
2位　村上泰斗　17歳　投手　神戸弘陵高　180cm76kg　右投右打
3位　石伊雄太　24歳　捕手　日本生命　181cm88kg  右投右打
4位　石見颯真　18歳　遊撃手　愛工大名電高　175cm75kg  右投左打 
5位　山口廉王　18歳　投手　仙台育英高　193cm89kg  右投右打
6位　小船翼　18歳　投手　知徳高　196cm106kg　右投右打
7位　（選択終了）

【楽天　総評】

　今江敏晃監督、大健闘の1年目かな……と思っていたら、辞任（解任？）の報道に「ええっ！」と驚いた。

　今年ここまで5球団6人の監督さんたちがその職を辞された。

　阪神・岡田彰布、オリックス・中嶋聡、中日・立浪和義、西武は松井稼頭央監督が休養した後、オフに渡辺久信GM兼監督代行までが辞任し、今江監督を含めて6監督。こんなに多数の監督さんの辞任劇が重なる年も珍しいだろう。

　しかも、その中に、立浪監督、松井監督、今江監督と、3人の「PL学園OB」がいたことも、時代の変遷というのか、なんというのか、なんとも微妙な気分にさせられたものだった。

　楽天は三木肇監督の再登板が発表され、チーム状況をかんがみながら指名を行なった。

　1位入札のアナウンスの肝心な部分を聞き逃した方も多かったかもしれない。オリックスと1位重複した西川史礁（青山学院大）。オリックスは「外野手」として指名したが、一方の楽天は「西川史礁、21歳、内野手、青山学院大学」。

　読み上げたアナウンスを聞き届けていただけただろうか。

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