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京大合格20人以上…偏差値70“奈良No.1公立進学校”野球部が秋大会で大躍進のナゼ「練習は週休2日」「ノックは10分だけ」快挙の秘密は“清掃活動”? 

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沢井史

沢井史Fumi Sawai

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posted2024/10/08 17:17

京大合格20人以上…偏差値70“奈良No.1公立進学校”野球部が秋大会で大躍進のナゼ「練習は週休2日」「ノックは10分だけ」快挙の秘密は“清掃活動”?<Number Web> photograph by Fumi Sawai

秋季奈良県大会で決勝進出を果たした奈良高校。京大現役合格20人以上の進学実績を誇るNo.1公立進学校の躍進のワケはどこにあったのか

 それは、普段から選手たちが勉強と両立させながら野球にも没頭するために集中力の高め方をコントロールできているからかもしれない。月曜日と水曜日と週に2度のオフを設けるだけでなく、吉村監督は練習時間をさらに短くして様々な可能性を見いだそうとしている。

「特に土日は1日練習をしないようになりました。午前中だけ練習して、あとは勉強したり他のことをしたり。野球以外のことでも成長しないと野球にも繋がらないと思っているんです」

 先日、木曜日、金曜日と降雨のためグラウンドでの練習ができない日があったが、大会中でも身体を軽く動かす程度だったという。

 さらに指揮官が今、重きを置いている、ある“行動”がある。

「清掃活動です。普段の学校生活の清掃なんですけれど、掃除する時の力の入れ方って野球に生きる部分があるんです。例えば、ほうきで掃く時は力を入れる時と入れない時がありますけれど、バットを握った時も力の入れ方の違いがあるでしょう。そういった感覚は自然に身につくのではと思うんです。

 グラウンド整備でもウチは一言も喋らずに30分くらいかけてするんですけれど、トンボかけをする力の入れ方も、ほうきの掃き方と繋がっていることもある。そういうところから野球に生きることは多いので、勉強も含めて他のことをもっとやって成長していって欲しいんです」

決勝は完敗も…近畿大会で目指すは「センバツ」

 県大会決勝戦は天理に11―1と完敗した。エースの神山が再び先発のマウンドに立つも、疲労もあり2回8失点と打ち込まれた。普段は見られないミスも失点に絡み「天理さんの強い打球に対応できない場面もありましたが、近畿大会に向けて良い経験ができました」と指揮官は前を向いた。

 昨年、奈良高校は創立100周年を迎えた。今年11月1日に記念式典が行われる予定で、「100周年に花を添えられたらと思っていたので、それがうれしい」と指揮官は笑顔をこぼす。

 記念すべき年にさらに明るい話題を添えることができるのか。21人の部員たちの秋の疾走はまだまだ続く。

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