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“代走のスペシャリスト”巨人・鈴木尚広コーチが見抜いた“大谷翔平56盗塁の秘密”…「おそらくイチローさんに近い感覚の、クレバーな走者」 

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佐藤春佳

佐藤春佳Haruka Sato

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photograph byNanae Suzuki

posted2024/09/26 17:02

“代走のスペシャリスト”巨人・鈴木尚広コーチが見抜いた“大谷翔平56盗塁の秘密”…「おそらくイチローさんに近い感覚の、クレバーな走者」<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

今季の大谷はなぜこれほど走れるのか。現役時代は盗塁の達人だった、巨人・鈴木尚広コーチにその極意を訊いた

「だからと言って相手が大谷選手に対するマークを緩めるかというとそうではないですよね。むしろ確率が上がれば上がるほど、キツくなっていく。特にドジャースは地区優勝争いをしているチームですからシーズン終盤となれば尚更です。その終盤になぜ盗塁をさらに増やせているのか。

 やはりある程度のレベルに達すると相手が諦めかけてくるところはあると思います。もう走られてもしょうがないな、大谷選手に気を取られるよりバッターに集中しようとか、そういうレベルになる。そうなってしまえば確率はさらに高められる。そこまでの段階を踏んで、見せていくことで獲得できた心理的アドバンテージです。優位に物事を進められるだけの支配率を持っているということの証明なんです」

一番の要因は頭の良さ

 鈴木コーチは20年の現役生活で228盗塁。通算成功率は.8290と抜群の高さを誇った。特に勝負を賭けた場面で代走に起用され、一発で成功させて試合の局面を大きく動かす様はまさに「スペシャリスト」だった。鈴木尚広の名を告げられた時点で、今の大谷と同様、相手投手も「諦めの境地」だったかもしれないが……。

「僕の場合は代走が多いので、どちらかというと徹底マークされていました(笑)。大谷選手と現役時代の僕とでは求められるところは全く違いますから、あくまで想像ですが、これだけ試合に出て50盗塁以上の数字を重ねられるのは、とにかく頭の良さ、思考の高さが一番の理由なのだと思います。投手一人一人のモーションの何かをキャッチする洞察力があるし、それを体に落とし込む能力もある。そう考えると彼にとっては必然の50で、偶然の50ではない。決めるべくして決めていると思いますね」

 後編は鈴木コーチの現役時代の秘話、そして今季のプロ野球で盗塁が減っている理由について聞いた。<つづく>

#2に続く
大谷翔平の「50盗塁は必然の数字」“盗塁の達人”巨人・鈴木尚広コーチが明かす極意「環境作り」とは…「僕は無人の東京ドームを一周してました」

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