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「異常な低レベル」セ打点・盗塁王争いだけでない“悩める成績”…阪神・佐藤輝明の守備率「.9181」岡田監督がサード固定以外に取れる対策は? 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2024/09/17 17:03

「異常な低レベル」セ打点・盗塁王争いだけでない“悩める成績”…阪神・佐藤輝明の守備率「.9181」岡田監督がサード固定以外に取れる対策は?<Number Web> photograph by JIJI PRESS

三塁守備率が取りざたされている佐藤輝明。チーム2位タイの14本塁打を放つスラッガーだけに外すのも難しいが……。

〈1950年以降のセ・パ両リーグで100試合以上守った三塁手の守備率〉※守は守備機会、失は失策
 1950年 宝山省二(近鉄) 率.904 (403守/失43)
 1950年 斎藤宏(東急) 率.905 (391守/失41)
 1953年 五井孝蔵(近鉄) 率.907 (400守/失41)
 1960年 西園寺昭夫(東映) 率.909 (249守/失25)
 1979年 山村善則(西武) 率.913 (282守/失27)
 1950年 中谷準志(阪急) 率.914 (416守/失39)
 1978年 山村善則(クラウン) 率.9167 (275守/失25)
 2024年 佐藤輝明(阪神) 率.9181 (258守/失23)
 1976年 山村善則(太平洋) 率.9182 (346守/失31)
 1955年 西江一郎(東映) 率.9185 (383守/失34)

 1950年代の記録が多い。2リーグ分立直後で、グローブは今よりも性能が低く、グラウンド整備ができていない球場も使ったために守備率が低かったのだ。

 そんな中に2024年の佐藤の数字が割り込んで入っている。グローブの性能もグラウンドの状態も飛躍的に向上していることを考えれば、歴史的な数字だと言える。

 21世紀以降で、これまでのワーストは2012年、広島の堂林翔太が記録した.924(354守/失29)だったが、これを大きく更新した。ちなみに三塁守備率のベストは、2011年のヤクルト・宮本慎也の.997、守備機会291で失策はわずか「1」だった。

 このランキングに3回顔を出す山村善則は、オールドファンには懐かしい名前だ。大阪の大鉄高校出身。弟の勝彦もプロに進み、山村は「兄やん」と呼ばれた。勝負強い打撃で鳴らしたが、三塁守備は振るわなかった。ライオンズから南海に移籍。登場曲に「河内音頭」を使って関西では人気者だった。

外野は近本・森下・前川で戻る余地がないゆえに

 佐藤は阪神入団時には外野手だったが、岡田彰布監督になった昨年、大山悠輔を一塁に回して三塁にコンバートした。大柄な佐藤の守備は迫力がある。また強肩でもあるが、ゴロ裁き、飛球の処理では他の三塁手と比べて物足りない部分がある。

 しかしながら外野は不動の近本光司に、森下翔太、前川右京が台頭し、佐藤が戻る余地がなくなっている。

 パ・リーグならばDHというところだが、セではそれもできない。大山とポジションを交換して一塁を守るのも1つのアイディアではあろう。

 一方でチーム2位タイとなる14本塁打を放つなど、打線の中核として外せないだけに――佐藤輝明の三塁守備は、大逆転「A.R.E」を目指す岡田阪神には頭痛のタネになっているのは間違いないだろう。

週間記録セ:広島がここ2週間で2勝11敗と不振

【2024年9月9日~9月16日 週間成績】
〈セ・リーグ〉
・今季成績
 巨 人131試70勝55敗6分 率.560 差--
 阪 神133試69勝58敗6分 率.543 差2
 広 島128試64勝59敗5分 率.520 差5
 DeNA127試64勝61敗2分 率.512 差6
 中 日133試54勝71敗8分 率.432 差16
 ヤクルト130試54勝72敗4分 率.429 差16.5

・22週の成績
 阪 神6試5勝1敗0分 率.833
 巨 人7試5勝2敗0分 率.714
 ヤクルト7試4勝3敗0分 率.571
 DeNA6試3勝3敗0分 率.500
 中 日7試2勝5敗0分 率.286
 広 島7試1勝6敗0分 率.143

 先週初めまで首位に立っていた広島がここ2週で2勝11敗と大敗して3位に。優勝争いは巨人、阪神に絞られたか。

〈打撃成績5傑〉※打撃の総合指標、RC=Runs Created順
 村上宗隆(ヤ)24打7安4本7点1盗 率.292 RC8.30
 吉川尚輝(巨)27打10安2本6点 率.370 RC7.88
 牧秀悟(De)25打11安2本6点1盗 率.440 RC7.38
 オスナ(ヤ)27打10安1本5点 率.370 RC6.93
 桑原将志(De)19打10安1本3点2盗 率.526 RC6.44
 
ヤクルトの村上とオスナが好調。村上はリーグトップの4本塁打7打点。盗塁は広島・小園海斗の3盗塁が最多だった。

〈投手成績5傑〉※リーグ防御率に基づくPR=Pitching Run順
 吉村貢司郎(ヤ)1登1勝6回 責0率0.00 PR2.42
 大竹耕太郎(神)1登1勝6回 責0率0.00 PR2.42
 アドゥワ誠(広)1登6回 責0率0.00 PR2.42
 森翔平(広)1登6回 責0率0.00 PR2.42
 戸郷翔征(巨)1登1勝6回 責0.00 率0PR2.42
 高橋奎二(ヤ)1登1勝6回 責0.00 率0PR2.42

 今週は6回零封した6投手が並ぶ。ヤクルトの吉村は4日の巨人戦でのプロ初完封に続く好投。救援では巨人の大勢、中日のマルティネスが2セーブ、阪神の桐敷拓馬が4ホールド。

週間記録パ:ソフトバンクの優勝が間近に

〈パ・リーグ〉
・今季成績
 ソフトバンク129試81勝45敗3分 率.643 差--
 日本ハム128試67勝53敗8分 率.558 差11
 ロッテ131試65勝60敗6分 率.520 差15.5
 楽 天126試62勝61敗3分 率.504 差17.5
 オリックス131試58勝70敗3分 率.453 差24
 西 武131試43勝86敗2分 率.333 差39.5

・22週の成績
 ソフトバンク6試6勝0敗0分 率1.000
 楽 天5試3勝2敗0分 率.600
 ロッテ6試3勝3敗0分 率.500
 日本ハム4試2勝2敗0分 率.500
 西 武7試3勝4敗0分 率.429
 オリックス6試0勝6敗0分 率.000

 負傷者続出のオリックスがロッテに連敗、ソフトバンクには4連敗。ソフトバンクはマジック5にまで減った。

〈打撃成績5傑〉
 ソト(ロ)20打10安4本7点 率.500 RC10.14
 レイエス(日)13打7安2本2点 率.538 RC6.67
 小郷裕哉(楽)18打7安1本3点1盗 率.389 RC5.84
 栗原陵矢(SB)28打9安7点 率.321 RC5.36
 近藤健介(SB)21打8本4点1盗 率.381 RC5.21

 ロッテのソトが打率5割、リーグトップの4本塁打と大活躍。連続試合安打が25で途切れた日本ハム・レイエスも好調を維持。打点はソトとソフトバンク栗原が7、盗塁は西武・長谷川信哉が2回で最多。

〈投手成績5傑〉
 石川柊太(SB)2登2勝13.1回 責1率0.68 PR3.52
 伊藤大海(日)1登1勝9回 責0率0.00 PR3.05
 武内夏暉(西)1登1勝9回 責0率0.00 PR3.05
 宮城大弥(オ)1登8回 責0率0.00 PR2.71
 大津亮介(SB)1登8回 責0率0.00 PR2.71

 ソフトバンクの石川は9月10日の楽天戦で6.1回自責点1、中5日の16日のオリックス戦で7回零封。日本ハムの伊藤は10日の西武戦で完封勝利。西武の武内は16日のロッテ戦でプロ初完封。7回までパーフェクトの好投。救援ではロッテの益田直也が2セーブ、西武の平良海馬が3ホールドを挙げた。

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