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「(鎌田)大地くんが蹴っていいよ、と」“人のPKは奪わない”ストライカー・上田綺世が体現するものとは…「爆勝」バーレーン戦現地で本人直撃
text by
佐藤景Kei Sato
photograph byJIJI PRESS
posted2024/09/12 17:41
バーレーン戦後半開始早々、2点目を決めて祝福される上田
大地くんが蹴っていいよっていうことだったので
「僕はもちろん、PKは好きだし得意ですけど、(PKを)もらった選手を尊重しているので、大地くんに蹴るか聞いたし、大地くんが蹴っていいよっていうことだったんで蹴りました。別に人のPKを奪ってまで蹴ろうっていうのは、僕はないですね」
早々とボールを奪ってセットし、PKを蹴るストライカーの姿はこれまでに何度も見たことがある。だが、上田のような考え方を持つ選手は珍しい。逆に言えば、強引に機会を作らなくてもネットを揺らす自信があるということかもしれない。
上田は先制点に続き、チームの2点目もスコアした。後半開始早々の47分、選手交代で反撃を狙った相手の攻め気を削ぐ一撃になった。
南野拓実が敵陣でボールを奪い、三笘薫、鎌田とボールをつなぐと、堂安律に代わって右ウイングバックに投入された伊東純也がダイレクトで中央へ折り返す。ペナルティーエリア中央でボールをトラップした上田は、無理な体勢ではあったものの、体を反時計周りに回転させながら右足を振り抜き、シュートをねじ込んだ。
「半身ずらして(ボールを)受けられたというか、そこから前を向けた。シュート打つことしか考えていなかったですし、シュートチャンスは逃がさないように意識していました。思い切って振って、いいところに飛んだなと」
バーレーンサポーターを家路につかせる一撃
2点差となり、スタンドを埋めていたバーレーンのファン・サポーターが一人、また一人と家路につき始めた。応援の数でまさるべくバーレーン協会は無料入場を認めていたが、日本の強さの前に諦めムードが漂った。
帰宅するファン・サポーターの数を一気に増やす日本の3点目が生まれたのは、61分。上田はアシストという形でゴールに絡む。左手でマークについていた相手の右サイドバックを制すると守田英正からの縦パスを呼び込み、丁寧に落とす。ペナルティーエリアに侵入した守田が右足でシュートを決めた。