- #1
- #2
サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
「まずマヤさんと話しました」イギリス人記者が菅原由勢に聞いた吉田麻也愛…「今夏最高の新戦力だ」初ゴールでサウサンプトンサポも期待大
posted2024/09/12 17:26
text by
ジョン・ブルーウィンJohn Brewin
photograph by
JFA/AFLO
左足ボレーの初ゴールは攻撃的な指揮官も喜んだはず
「(自身の戦術が)諸刃の剣であることはわかっている。それでも私はこのやり方を貫き、チームがもたらしてくれる瞬間を楽しみたい」
サウサンプトンのラッセル・マーティン監督は、8月31日に行われたプレミアリーグ第3節ブレントフォード戦の後にそう話した。敵地で1-3と敗れ、昇格してきたばかりのサウサンプトンはこれで開幕3連敗となってしまったが、菅原由勢は終盤に左足で美しいボレーシュートを決めた。
プレミアリーグにデビューして3試合目に記録したこの日本代表DFの初得点は、指揮官が楽しんでいる瞬間のひとつだったはずだ。
現在24歳のライトバック(サウサンプトンでは主にウイングバック)が加入した英国南部を本拠とするクラブは、2年半前に野心的なオーナーに買収され、一昨季に降格したものの、チャンピオンシップ(2部リーグ)の昇格プレーオフを制して1シーズンでプレミアリーグに返り咲いた。手綱を捌いたのは、昨季が1年目のマーティン監督だった。
現役時代はタフなセンターバックとして鳴らし、指導者となってからは創造性とショートパスを重視する指揮官は、ピッチの内外でより良い世界を希求する。菜食主義者で、少年時代に苦しんだ家庭内暴力の撲滅運動や、恵まれない人々へのチャリティーにも携わり、「フットボールには人々の人生を変える力がある」と信じている。
そんな理想家が束ねるチームに菅原がすんなりと順応できたのは──開幕3試合連続で先発出場──ひとえに彼の知性と技術、そして人柄の賜物だ。
インテリジェンスとスキルに秀でていなければ、後方から短いパスを繋いでいくチームで起用されるはずはなく、明るく前向きなキャラクターがなければ、仲間やファンからこれほど早く受け入れられていないだろう。
2019年に18歳でオランダのAZアルクマールに入団した菅原は、エールディビジでの充実した5シーズンを経て、今年7月にプレミアリーグにステップアップした。新天地サウサンプトンは、日本人にお馴染みのクラブだ。これまでに李忠成、吉田麻也、南野拓実がプレーし、今夏には菅原の他に松木玖生を迎えた(今季はトルコの姉妹クラブ、ギョズテペにローン)。
「まず麻也さんと話を…僕のレジェンドだから」
なかでも8シーズンを過ごした吉田は、スタッフやファンに特別に愛された選手だった。
現在LAギャラクシーに所属する元日本代表主将こそ、菅原のロールモデルと言って差し支えないはずだ。