サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
「みんなが周りにいて…」伊東純也が浮かべた“苦笑い”の理由…なぜいつもより饒舌だった? ミックスゾーンで語った代表復帰戦“本当の思い”
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byKiichi Matsumoto
posted2024/09/06 17:00
約7カ月ぶりの代表復帰戦で、途中出場ながら1ゴール2アシストをマークした伊東純也。サポーターの大歓声に頭を下げるシーンもあった
「なんか自然に出ました」“あの一礼”に込めた思い
歓喜の輪が解けると、日本代表のサポーターが埋め尽くすバックスタンドに一礼した。試合後のフラッシュインタビューでそのシーンについて聞かれると、「感謝の気持ちを伝えたかったので、ああいう形になりました」と表情を緩めた。着替えを済ませてミックスゾーンで、もう一度同じ場面を振り返る。また、笑みが拡がった。
「自然に出たんです。もうホントに、ありがとうございますっていう。意図的にって言うよりは、自然に出ました。今日の声援が思った以上にすごかったというのもあるし、それが嬉しかったですし、なんか自然に出ました」
2023年10月のチュニジア戦以来となるゴールで、チームとスタジアムに大きなうねりを巻き起こしただけではない。87分には前田大然のゴールにつながるクロスを供給した。右タッチラインを背にボールを受けると、内側へボールを持ち出しながらGKとDFラインの間へ絶妙なボールを通した。
「クロスのアシストは狙いどおりで、大然ならあそこに入ってくるだろうというところでうまくできた。良かったんじゃないかと思います」
ゴールへの関与は終わらない。アディショナルタイムに入った90+5分、右サイドからドリブルで内側へ運んでいき、久保とのパス交換から左サイドへ流れてクロスを入れる。途中出場の小川航基がヘディングで合わせると、ボールはバーを叩く。そのまま日本の攻撃は続き、ペナルティエリア内左の伊東へボールが戻ってくる。チームメイトのパスを要求する声が、伊東の耳に届いた。
「ホントは自分で打とうと思ったんですけど、タケが叫んでて、ずっと。自分が打ったら相手に当たる確率もあったので、タケに落として任せてみようかなと思ったら……」
伊東からパスを受けた久保は、ゴール正面から豪快な左足シュートを突き刺した。23歳のレフティーは「伊東選手がホントは打とうと思ったけど、タケだからって。そこは嬉しかったですね」と、優しさ溢れるアシストに感謝した。