2セットと日本が連取したときは準決勝が見えたような気がした。

　だが、第3セットはマッチポイントを握りながらも逆転を許し、続く第4セットでも意地のイタリアの前に連取された。接戦の末、2－3でフルセットの逆転負け。

　試合後、石川は「僕がこの結果を招いた」「託されたところで決めきれなかった。僕の責任だと思う」「僕が頼りなかった」と自分を責める言葉ばかりが口をついた。

　しかし、この日は6連続ポイント奪うなど、エースとして勝負どころで力を発揮していた。巧みなスパイクで量産した両チーム最多となる32得点は、オリンピック歴代4位の数字。攻撃のみならず、レセプションも安定していて大崩することもなかった。

　リベロの山本智大も「彼も彼なりに背負っているものはいっぱいあると思う。そういうものを払拭して、今日はクリーンな状態でコートに入ってくれたので、非常に良いプレーをしてくれていました」と話したように、この試合で彼が本来のパフォーマンスを取り戻せたことは非常に大きかった。

©️Takuya Kaneko/JMPA

　なにより、石川自身が生き生きとしたパフォーマンスを見せたことで、予選ラウンドの重苦しい空気は払拭され、チームも勢いに乗れていた。それだけに、1点の重みをあらためて感じさせられるとともに、バレーボールの醍醐味を感じさせてくれるような魅力がたっぷりと詰まった試合だった。

　一瞬たりとも目が離せない展開に会場も湧いた。敗れた日本にも惜しみない拍手が送られた。

石川が誇る“最高の指揮官とチームメイト”

　コーチ時代を含めて8年間、指導したフィリップ・ブラン、そして仲間に、キャプテンとして、エースとして石川は心から感謝する。

ブラン監督（当時コーチ、2017年）の言葉に耳を傾ける石川祐希　©︎Asami Enomoto

「今日は結果を残すことができませんでしたが、このチームは着実にステップアップしてきた。今回は叶わなかったけれど、ネーションズリーグではメダルを獲得したり、今日もあと一歩のところまでいった。世界でも互角に戦えるチームであることは間違いない。それは監督のおかげであり、チームメイトのおかげだと感じています」

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