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「最後まで見届けなきゃ…」男子バレー決勝を現地観戦した日本人ファンの本音…あの名将も日本代表を賞賛「とても悲しい。グレイトで美しかった」
posted2024/08/15 17:03
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
Takuya Kaneko/JMPA
謙遜しすぎでしょうティリさん……。そう言いたくなるほど、パリ五輪バレーボール男子決勝でポーランドを破り五輪連覇を果たしたフランスの強さは圧倒的だった。
決勝前日、東京五輪でフランスを初優勝に導き、現在はSVリーグ・大阪ブルテオンの指揮を執るロラン・ティリ監督に会場で偶然出会い、話を聞いていた。
「ポーランドは非常にいいチーム。でもおそらくポーランドのほうがストレスがかかり、フランスはストレスなくプレーできるんじゃないか。だからフィフティフィフティかな」
ホームの強力な後押しもありますからねと言うと、「それでも十分じゃないよ。ポーランドにはすごくいい選手がいるから」と苦笑していた。
今の主力選手が若手だった頃から東京五輪まで9年間育てたチームだけに、心配が尽きない親心だったのだろう。
ポーランドを圧倒したフランスの圧力
試合が始まるとフランスの強さが際立った。攻撃、ブロック、ディグ、多彩なサーブ、そしてブロックフォローやつなぎなど数字に表れにくい部分まで精度が高く、完成度の高いバレーを展開した。
試合前の国歌斉唱の際には、ポーランド国歌もスタンドからかなりの声量で響いていた。だが試合が始まると、フランスの選手のプレーと観客が呼応し、フランスの応援一色に染められていく。得点や好プレーに観客が熱狂し、その会場のエネルギーを選手が取り込んでまたパワーアップする。まるでドラゴンボールの元気玉のように。
エースの“ガペ”ことイアルバン・ヌガペトは、心地よさそうにそんな会場の空気を浴び、笑みを浮かべていた。以前ティリ監督が、「音楽やパーティも大好き」と語っていたお祭り男が乗らないわけがない。