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メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
「藤浪は日本でも契約したい球団がおそらくない」NHK解説者が指摘する、藤浪晋太郎30歳“戦力外通告”の現実「阪神がどうするか…」MLB日本人投手の明暗
text by
沼澤典史Norifumi Numazawa
photograph byGetty Images
posted2024/08/09 17:01
現地時間7月26日、所属するメッツから事実上の“戦力外通告”を受けた藤浪晋太郎(30歳)
「誠也と吉田は、2人とも調子を上げてきていますね。どちらもシーズン終わりは、打率2割8分くらいで着地すると思います。MLBでも2割8分打てる選手は、そんなにいませんから相当すごいですよ。特に誠也には、せめて25本はホームランを打ってほしいね。日本からアメリカに行ってシーズン20本打てる右バッターはいなかったので、誠也に期待したい」
そして、武田氏が最後に言及したのが藤浪晋太郎である。藤浪は今季からメッツに加入したが、メジャーでの登板はなし。事実上の戦力外通告を受け、自由契約か残留かの選択を迫られたが、傘下の3Aシラキュースに残留となった。
「藤浪は日本に帰るにも、おそらく契約したい球団がない。古巣の阪神が手を挙げるかどうかでしょうね。一番の問題はコントロールなんですが、彼の場合、再現性が低いことが課題。スポーツはなんでもそうですが、調子のいいときのフォームをいかに再現できるかの世界です。バッターの場合は毎回違うボールに反応しなければいけませんが、ピッチャーは自分主導でいつも同じ環境で投げられるんですから、とりわけ再現性が活躍の鍵になります。藤浪は腕力やボールのスピードはあるけど、それをコントロールする再現性が低い。俺なんかは背も小さいし手も短いから苦労しなかったけど、藤浪みたいに手足が長いと結構大変なんだろうね……」
「藤浪は逆の意味で想像できない」
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武田氏がダイエーのコーチ時代、同じようにコントロールに苦しんだ長身ピッチャーがいたが、彼は見事に克服したという。その投手こそ、「負けないエース」斉藤和巳(現ソフトバンク4軍監督)である。
「和巳は不器用で、藤浪のように体を大きく振ってしまい、制球に悩んでいました。『武田さん、ストライクってどうやって投げたらいいんですか?』と聞いてきたほどですが、『投げる際に、一度ホームベースから目線を切ったら?』とアドバイスしたらフォームが安定しました。そういう他人の意見を素直に聞くことも野球選手には必要なんです。例えば、一番いいときを知っているコーチに聞いてみるとかね。ちなみに、僕の経験上、ずっと見ている親が一番自分のいいときのフォームを知っているんですよ。僕も親父のちょっとしたアドバイスが効いたことがありましたから。大谷と藤浪は同級生ですね。大谷はいい意味で今後の活躍が想像できないけど、藤浪は逆の意味で想像できなくなっている。藤浪には、今年と来年で変われるように頑張ってほしいね」(注/目線を切る=視線を外す)
大谷のド級の成績に感覚が麻痺してしまうが、他の日本人MLB選手も今季は目覚ましい成績を残しそうである。8月以降の彼らの活躍にも期待したい。
<《大谷》編から続く>