現役時代、連投に連投を重ねた武田氏もウォーミングアップを入念にするなどして、ふくらはぎの肉離れには気をつけていたものだという。ちなみに、千賀はソフトバンク時代もケガで戦線を離脱することが少なくなかった。千賀のケガが多い原因を武田氏は指摘する。

「彼は出力が上がりすぎて、体を壊すんだと思います。もともと、軽く投げられるタイプではなく、全球全力で投げるタイプですからね。調子が良くて腕が振れすぎると肩が痛くなったりするんです。抜いて投げろとは言いませんが、所々で出力を抑えながら投げることを覚えないと、やはりケガをするんです」

「菊池はアメリカでの評価は高い」

　一方、日本人投手で元気なのは今永昇太（カブス）と菊池雄星（7月29日にブルージェイズからアストロズにトレード）だ。

「チーム状況もあるため、今永には打線の援護がありませんが、オールスターで投げたのは立派。大体の日本人ピッチャーは、オールスター前にケガなり、調子を崩すなりしますからね。また、7月は再び高めの真っ直ぐを使えるようになったので、ボールの調子もいいんだと思います。勝ち星二桁は確実にいきますね」

　今永は現在8勝で、7月は1勝にとどまった（※現地8月6日に9勝目を挙げる）。しかし、4登板のうち3回で良好な先発投手の指標となるQS（クオリティースタート：6回以上投げて3自責点以内に抑えること）を達成している。

「トレードされた菊池は日本人が思っているよりもアメリカでの評価は高いですよ。3対1でトレードされるくらいですからね。アストロズの評価が非常に高い証です。トレードというと日本ではマイナスに捉えられがちですが、この時期、優勝がなくなったチームは、来年の戦力構想をしながら高額な年俸の選手をトレードに出すことがある。ブルージェイズは地区最下位です。選手としても優勝の可能性があり、自分を高く評価する球団にいけるんですからちょうどいい。しかも、菊池はブルージェイズとの契約最終年でしたから、ここから結果を残せばアストロズに残れるかもしれません（注／菊池は最長3カ月契約のレンタル移籍だが、結果次第で延長の可能性がある）」

現地8月7日のレンジャース戦に先発し、移籍後初勝利（今季5勝目）を挙げた菊池雄星（アストロズ）　©Getty Images

　菊池はここまで4勝9敗、防御率4.75。打線の援護がなく、勝ち星が少ないが安定した内容が評価されているようだ。

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　また、大谷の陰に隠れているが、鈴木誠也（カブス）と吉田正尚（レッドソックス）の日本人野手の活躍も武田氏は特筆に値すると述べる。鈴木は現在、打率.270、15本塁打、52打点。吉田は打率.279、5本塁打、33打点である。互いに7月は好調を維持した。

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