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バスケ代表・河村勇輝(23歳)が掴んだ“現地ファンの心”「相手ファウルに会場ブーイング」「驚きの股下パスも」…それでも残る「日本の課題」は?
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byGetty Images
posted2024/07/30 17:17
敗れはしたもののドイツ戦で現地ファンの心を掴んだ河村勇輝。一方で河村の活躍からは代表チームの課題も浮き彫りに
だからこそ、今回のドイツ戦は自身の哲学を壊してしまうような采配にも見えた。
昨年のW杯では、河村だけではなく、比江島慎、富永啓生と、試合ごとにヒーローが変わっていった。日本は3勝を収めて、アジア1位の成績を残し、フランスの舞台への切符を獲得した。
翻って今回のドイツ戦、富永にいたってはチャンスを与えられたのは前半の終盤だけ。わずか49秒しかなかった。もし試合の最終盤に彼を使う選択をしていれば、2試合目につながる何かを見せられた可能性はある。
八村と渡邊頼みでは「前回五輪と同じ結果に」
もちろん戦術や戦略は、選手の調子や対戦相手にもよる。当然、試合ごとに変わったとしても問題はない。
しかし、チームの哲学を変えるのは良くない。東京五輪を経験しているキャプテン富樫はこの試合の前に、3年前の反省をこう語っていた。
「NBAの(経験がある)2人を頼りにしていては、また前回のオリンピックと同じ結果になってしまうと思うので。それ以外の選手がどう、ステップアップするかだと思う。2人に頼らずやるバスケットが、トムさんのバスケットだと思うので」
オリンピックは12チームが3つのグループにわかれ、各グループの上位2チームに加えて、3位のチームのうち得失点差により2チームが決勝トーナメントに進める。そして、この「ベスト8進出」が今回の目標だ。
現地時間7月30日の試合で対戦するフランスは東京五輪の銀メダルチームであり、今回はホスト国だ。しかも今大会はNBA屈指の選手でもあるヴィクター・ウェンバンヤマを擁する。日本はもちろん番狂わせを起こすために挑むことになるが、仮にそれがかなわなかったとしても、いかに得失点差をつけられないかが続くブラジル戦に向けて重要になってくる。
だからこそ、この試合にむけて今度はホーバスHCが成長したところを見せる必要がある。
選手たちに「自身の可能性を信じる」ことを求める指揮官には、自身の哲学と12人の全ての選手を信じてほしいと願っている。