核心にシュートを!BACK NUMBER
バスケ代表・河村勇輝(23歳)が掴んだ“現地ファンの心”「相手ファウルに会場ブーイング」「驚きの股下パスも」…それでも残る「日本の課題」は?
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byGetty Images
posted2024/07/30 17:17
敗れはしたもののドイツ戦で現地ファンの心を掴んだ河村勇輝。一方で河村の活躍からは代表チームの課題も浮き彫りに
第4Q残り8分25秒の場面。日本が苦手としていたオフェンスリバウンドを3度続けてとった後、河村は距離のある3Pシュートを決めた。終盤になってもあきらめない姿勢を日本が見せると、会場全体が日本を応援するムードになった。
直後のドイツの攻撃で、河村が身体を張った守備をみせ、オフェンスのチャージングを勝ち取ったように見えた場面があった。結果的に河村のファウルになったものの、審判の判定に対して会場では大きなブーイングが起こった。現地で解説を務めている日本人初のNBAプレーヤー・田臥勇太が思わずこううなったほどだった。
「たくさんの方が日本を応援してくださってますね」
これもまた身長が高い選手ほど有利とされている競技で、小さな河村が頑張るからこそ得られるアトバンテージだった。河村は試合後にTV局の取材でこう語っている。
「日本のファンのみなさんもたくさん応援に駆けつけてくださいましたし、日本の方以外にも僕たちの一つのプレーにアクションだったりをしていただいたので、すごくホームの雰囲気を感じられました」
思い返せば昨年のW杯でも、初戦でドイツの司令塔デニス・シュルーダーの緩急の使い方にヒントを見出し、そこからの4試合で自身がその緩急を使うことで相手の守備を切り裂いていった。河村の武器の一つは学習能力の高さだ。今回のオリンピックでも試合を重ねるごとにパフォーマンスを上げていくのではないかという期待を抱かせる。
なぜ河村は試合終盤まで「動けた」のか?
河村は残り1分を切った時点で、日本のこの試合最後の得点となる3Pシュートも決めた。最後の最後まで、足が止まることはなかった。
では、なぜ河村は終盤までパフォーマンスのレベルを落とさなかったのか。実はそこにこそ日本チームの課題に関するヒントが隠されている。
河村が試合の最後まで動き続けられたことは、彼の能力はもちろんのこと、同ポジションの富樫勇樹が14分23秒、テーブス海が14秒出場していることと無関係ではない。