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「私の人生ですから」古賀紗理那らしく“サラッと引退発表”…28歳日本代表キャプテンがパリ五輪前に驚きの決断「もう一度“やる”と決めた3年前」
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byNaoki Nishimura/AFLO SPORT
posted2024/07/11 17:03
パリ五輪限りでの現役引退を発表したバレーボール女子日本代表キャプテン・古賀紗理那(28歳)
自身が思い描くパフォーマンスを発揮するためにより高く跳び、より速く動く。そのためのトレーニングや食生活、土台になる部分から日々の練習に至るまで一切妥協しない。成果を見せつけるように、連覇を遂げ、2年連続で文句なしのMVPを受賞したVリーグでは、高さで勝る相手が2枚並ぼうとその上から叩きつけた。
すべて偶然ではなく緻密な計画に基づき、地道な努力を重ねてきたからこそできること。圧倒的な凄さを見せたのは、今や国内最後の雄姿となったネーションズリーグだった。
「古賀紗理那史上、一番必死な大会でした」と振り返る予選の12試合。そしてファイナルラウンドでの3試合。自身のプレーで引っ張ることはもちろん、チームとして戦うための策や役割を短いタイムアウトの間に自ら発する。試合を重ねるごとに強くなったチームを「誇りに思う」と断言する。強く、逞しい古賀の振る舞いは、見ているこちらこそが何より誇りに思う、日本代表の主将の姿だった。
「最後、全部出し切ってきます」
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これが最後と決めて臨むパリ五輪。開幕を前に、古賀は自らの言葉で「引退」を表明した。文字通りのすべてをぶつけ、出し切る大会が、間もなく始まる。
どんな顔で、パリのコートに立つのか。
確かなのは、これで引退するなど微塵も感じさせないような、わかっていても「いやいやまだまだできるよ」と唸りたくなる、カッコよくて強い、これまでも見続けてきた古賀の姿がそこにあるということ。
「最後、全部出し切ってきます」
今まで味わった悔しさも、成長を感じるたびに得た喜びも、重ねた経験と努力の末に培った、どうかすべての力がパリの地で発揮されますように、と心からの願いを込めて。
寂しさよりも、古賀紗理那史上一番最高の姿を、最後まで見られる喜びを噛みしめたい。