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「私の人生ですから」古賀紗理那らしく“サラッと引退発表”…28歳日本代表キャプテンがパリ五輪前に驚きの決断「もう一度“やる”と決めた3年前」
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byNaoki Nishimura/AFLO SPORT
posted2024/07/11 17:03
パリ五輪限りでの現役引退を発表したバレーボール女子日本代表キャプテン・古賀紗理那(28歳)
バレーボールを始めたのは小学2年の頃。振り返れば、バレーボール選手生活は20年になる。最初にその名を知らしめたのは熊本信愛女学院高校時代。高校1年生ながら180センチを超える高さを備えながらサーブレシーブも器用にこなす姿は、当時の女子バレー日本代表で絶対エースとして君臨した木村沙織を彷彿とさせ、かつての木村と同じく“スーパー女子高生”として話題を集めた。ベスト4に進出した2013年の春高では初のセンターコートで堂々たるプレーを見せた。
瞬く間に注目選手となった古賀には、常に大きな期待と関心が寄せられた。だが、アンダーカテゴリー日本代表での国際大会に向けた合宿に加わると、まだトレーニングが十分ではなかった身体は悲鳴を上げ、ケガに苦しめられることも多かった。熊本信愛女学院高のエースとして活躍が期待された2年時の春高ではシード校として出場したにもかかわらず初戦となった2回戦で姿を消し、3年時も3回戦で敗退を喫した。
それでも、自分のパフォーマンスができていないことやチームを勝利に導けなかった悔しさを誰より自分自身が痛感していたのに、試合が終われば多くの記者に囲まれた。
「なんでブワーッとみんなで囲むんですか?」
数年後、当時を振り返る取材の場で古賀は真顔でこう言った。
「取材って、大事だと思うんですけどなんであんなにブワーッとみんなで囲むんですか? 後ろのほうにいる人はただ聞いているだけなのに、選手からすれば結構な数で大人に囲まれることは威圧感しかないです。あの絵って、すごい不思議ですよね」
元来の人見知りに加え、一気に増した注目で激変する世界。「取材は苦手」「話すのは得意じゃない」と言いながらも、日本代表や2015年から所属するNECレッドロケッツで主軸として活躍する選手である以上、事あるごとにマイクが向けられた。