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「宮部藍梨がいるからリベロを2人選べた」16歳で初代表、アメリカ帰りの秘蔵っ子が初五輪…天才少女が“最強のユーティリティー”に変貌したワケ
posted2024/07/06 11:02
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph by
Yohei Osada/AFLO SPORT
7月1日に行われたパリ五輪出場選手発表の記者会見。
バレーボール女子日本代表・眞鍋政義監督は12人の名前を読み上げた。
セッターの2人、アウトサイドヒッターの5人、ミドルブロッカーの3人と順に発表し、そして最後に名を挙げたのは2人のリベロだった。
12人のうち、リベロに2枠を費やしたのは、1998年に国際ルールとして正式にリベロ制度が導入されて以後初めて。世界選手権やネーションズリーグといった国際大会の登録メンバーは14人のため、うち2人がリベロであることがほとんどだが、12人に絞られる五輪では攻撃枚数を確保するためにリベロが1人とされることが多い。それでも眞鍋監督は「ディフェンスが生命線」と選考理由を説明し、サーブレシーブの小島満菜美、ディグの福留慧美と、それぞれの個性を活かす“スペシャリスト”として選考した。
この意外とも言える選出を、不思議とすんなり受け入れられた理由があった。
五輪メンバーに初選出された、ミドルブロッカーの宮部藍梨の存在だ。
「みんなが使いやすく使ってくれたらいい」
なぜ宮部がリベロ2人の選出をも納得させるのか。それは彼女の万能性にある。
182cmの高さを生かしたミドルブロッカー本来の仕事だけでなく、リリーフサーバーやリリーフブロッカーといったワンポイントでの役割に加え、万が一負傷者が出た際にアウトサイドヒッターもカバーできる。どのポジション、役割もこなせる稀有な選手だからだ。
今年度の活動がスタートした際に行われた4月5日のキックオフ会見。宮部の言葉が頭の中に色濃く残っていた。
「私のことは、みんなが使いやすく使ってくれたらいいと思っているんです」
「(トスに関して)言うべきことはしっかり伝えて妥協しない」と断言する古賀紗理那の話を聞いた直後だったからか、宮部の言葉がいっそう印象に残った。