野球のぼせもんBACK NUMBER
ホームラン消えたプロ野球で“ただ1人”別次元…ソフトバンク近藤健介に番記者直撃「なぜ打てる?」仲良し後輩・大谷翔平“2人とも三冠王”の現実味
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byJIJI PRESS
posted2024/07/11 06:00
「打者が打てない」といわれる今年のプロ野球で、ひとり異次元の成績を挙げている近藤健介
一方で昨季の打率は.303だった。首位打者を獲得した頓宮裕真(オリックス)にわずか4厘及ばずに三冠王を逃したのだが、それ以上に近藤が不満を抱いたのは三振の多さだった。昨季は自身初めて3桁の117三振を喫した。その改善と確実性の向上は今季へのテーマの1つだった。
かくして迎えた今季、三振数はシーズン半分以上の76試合を戦って47個と改善し、そして何よりも高打率が光っている。少し前の6月下旬頃には3割5分台に乗せていた。
ひとり異次元…近藤健介が語る「なぜスゴイ?」
昨今は打者氷河期だ。3割バッターが両リーグ通じても片手に収まるほどしか存在しない。にもかかわらず、近藤だけが異次元すぎる数字を残している。
なぜ、こんなにも打てるのか。率直に近藤本人にそう水を向けると、このような答えが返ってきた。
「その日によって、自分の中での感覚の良し悪しは違います。それは当然です。でも、それを気にせず打席に立てるようになってきたのは大きいかなと思います。試合はピッチャーとの勝負。自分のバッティングフォームとかが先に(頭の中に)来ちゃうと、タイミングとかそういう部分がおろそかになってしまう。まずはピッチャーと勝負っていうところで打席に入れてるのがいいですね。ただ、今は結果がいいのでそんな風に考えられるとも言えます。どうしても状態が悪くなると自分(の打撃フォームなど)になっちゃう。だけど、その中でも今年は去年までと比べても、いい意味で開き直れている感じはあります」
特に6月の活躍は凄まじく、月間成績は23試合で打率.413、31安打、7本塁打、打点23、15四球、長打率.773、出塁率.516。先述した部門がリーグ1位という驚異の「7冠王」で、当然のごとく月間MVPに選ばれた。
それは常識に当てはめれば、ありえない活躍だった。
いくら天才バッターだとしても体が万全でなければ、その才能を発揮するのは難しいと思われたからだ。