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ホームラン消えたプロ野球で“ただ1人”別次元…ソフトバンク近藤健介に番記者直撃「なぜ打てる?」仲良し後輩・大谷翔平“2人とも三冠王”の現実味
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byJIJI PRESS
posted2024/07/11 06:00
「打者が打てない」といわれる今年のプロ野球で、ひとり異次元の成績を挙げている近藤健介
「顔面を打ちつけて」「大量の氷を」負傷の裏側
6月12日のヤクルト戦(みずほPayPayドーム)の左翼守備で右手を負傷していた。前方の打球に飛び込んで捕球しようとした際に顔面をグラウンドに強く打ちつけて、さらに右手を巻き込んでしまったのだ。そのままプレーは続行し直後の攻撃では打席に入るも一ゴロ併殺打。次の回の守備から退いた。
ビニール袋に大量の氷を入れ、それを右手に当てながら帰宅。翌日、病院に行くと右手中指と薬指の付け根の捻挫と診断された。骨に異常はなかったとはいえ、この時の空気感は離脱もやむなしだった。
だが、近藤は翌日以降もグラウンドに立ち続けた。「(痛みは)あります。何もない時に比べたら(力は)入りづらいです」と明かしたものの「入らないってほどでもないので大丈夫かな」と語り、「(送球は)ちょっと厳しい」ということで、指名打者で出場した。「出られるので、それだけですね。そこ(全試合出場)はレギュラーとして大事なことだと思います」。痛みをこらえながら、負傷からたった3日後からは2試合連続で本塁打を放った。ハイタッチはいずれも左手のみ。その後、「交流戦後の4日間の休み(試合なし)のあいだにだいぶ良くなった」と話していたが、痛みが引いてきたとしても違和感はしばらく残ったままだった。
“一般論”が通用しない男
「試合に出られるくらいの痛みだったので。そのおかげで、うまいこと力が抜けたり、無駄なこと考えずに打席に立てたのかも。やっぱり力が入りすぎると、動きの部分でイレギュラーが発生しちゃう。あと、これは怪我をする前くらいからでしたが、春先もそれなりに結果は出ていたけど感覚的にズレがあったんです。だけど、6月あたりから練習のバッティングを試合で多く出せるようになりました」
つまりは怪我の功名だったというわけか――?