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強豪校中退→クラブチーム&通信制高校から大学へ…仙台発MAX152キロ “ナゾのプロ注左腕”渡邉一生(20歳)の波乱万丈「150キロの変化球投手に」
text by
高木遊Yu Takagi
photograph byHideki Sugiyama
posted2024/07/10 17:02
侍ジャパン大学代表にも選ばれた仙台大のサウスポー・渡邉一生。MAX152キロの剛腕だが、その経歴は波乱万丈だ
そこから今に至るまでの投球テーマは「(球速)150キロを投げられる変化球投手」となった。球速ばかりを追い求めていた自分に別れを告げ、仙台大の坪井俊樹コーチ(元ロッテ投手)とともに故障しにくく、シーズン通して投げられるようなフォーム改造に取り組んだ。
その成果が一気に表れたのが今春だった。仙台六大学リーグで3勝0敗、防御率0.27の活躍でチームを全日本大学野球選手権出場に導いた。初戦となった星槎道都大戦に先発すると、自己最速を更新する152キロを記録し、5回2安打無失点でチームの初戦突破に貢献した。
人生初の日の丸…侍ジャパン大学代表に
そして、2回戦で敗れこそしたものの、侍ジャパン大学代表候補に選出。その選考合宿でも好投を見せ、野球人生で初めて日の丸を背負うこととなった。
侍ジャパン大学代表として戦うプラハベースボールウィーク(チェコ)では、7月9日のチェコ戦に先発。昨年のWBC出場組が多く揃う中で150キロ前後のストレートに加え、スライダーやチェンジアップなどのキレのある変化球も武器に6回3安打2失点。9奪三振を奪う好投で、勝利投手にもなった。12日からのハーレムベースボールウィークでも活躍が期待されている。
「気負わず自分のスタイルである“150キロ投げられる変化球投手”ということをブラさずにやってきたいです。師匠からも“頑張ってこいよ”とメッセージをもらいました。日本の代表ですし、仙台大の代表としても行ってくるので、自覚を持って投げていきたいです」
大会前に語っていた殊勝な言葉の数々からは、自分の結果ばかりを求めていた過去の姿は感じない。これからの渡邉の戦うステージ一つひとつは恩返しの舞台であり、成長を示す舞台になっていくだろう。異国の地でも、生まれ変わった渡邉一生を見せつけていく。