母はいつも屋根のない応援席で…

　正吾や勝児の試合の日、屋根のない応援席には亜希さんの姿がある。モデルの仕事には天敵の日焼けとも戦わなければならない。

「肌がボロボロになりながらでも、僕らを応援してくれる。すごいなと思います。父も必ず応援に来てくれていますし、両親が見てくれているというだけで力になる。ふたりには本当に感謝しています。だから自分も、そんな両親に活躍している姿を見てもらいたいという想いで、フィールドには立っています」

「両親には本当に感謝しています」 ©Shigeki Yamamoto

弟・清原勝児（慶應高3年）　©Nanae Suzuki

僕は母親似、弟は父親似「兄の分析」

　野球を介して家族の距離はより縮まり、月に2、3回は父を含めた家族全員が集まって食事を共にするという。

「自分が大学で野球を再開すると決めた時、一番喜んでくれたのが父だった。母も、僕や弟が野球をやることによって、父の功績や偉大さを改めて感じていると思う。うちの家族にとって野球というのは本当に必要なツールなんです。一度、バラバラになった家族を繋ぎとめてくれたのも野球でした。野球があったから、今、みんなで鍋を囲んで一緒にご飯を食べることができている」

　身長186cmの兄に対し、弟の勝児はおよそ175cmと小柄だ。正吾に言わせれば、顔立ちや人見知りをしない自分の性格は「圧倒的に母親似」で、「ぶきっちょなのに、真っ直ぐで熱い」父に似ているのが弟だという。

〈つづく〉

©Shigeki Yamamoto