スポーツ名言セレクションBACK NUMBER
サッカー消えた天才の明暗「アルコール依存と闘う」問題児MF、“練習サボりがちパサー”と“母思いの走らない司令塔”は今、意外な職に
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byTamon Matsuzono(L),Getty Images
posted2024/06/01 11:06
リケルメ、ガスコイン、デラペーニャ。フットボール強豪国が生んだ天才パサーは今、どんな道を歩んでいるのか
18歳にしてボカ・ジュニオルズでトップチームデビューしたリケルメは、その後バルサやビジャレアルなどに在籍。ビジャレアル時代の05-06シーズンにはスペインの中小クラブをチャンピオンズリーグ4強に押し上げる原動力となった。
そのプレースタイルは20年前の時点でも、異質そのものだった。
ボールを受けるのは足元のみ。フリーランはほぼせず、キープとパスで局面を打開する。
その古典的なスタイルは「恐竜」ともたとえられ、時には期待値と裏腹のバッシングを受けることもあった。口下手な彼のパーソナリティーの一端が見えたのは、2006年ドイツW杯である。
“戦犯”扱いに心痛めて病床にあった母親を…
アルゼンチン代表の司令塔として、さらには当時18歳のメッシを操る役割を期待されたものの、本領発揮とはならずチームも準々決勝で敗北。その“戦犯”の1人としてリケルメはやり玉に挙げられた。その心労からか病床にあった母親を、リケルメは看病することを優先したのだという。
そんな素顔を持つリケルメは2019年末から古巣のボカで副会長を務めて、2023年末には会長に就任。45歳の今、文字通りクラブのトップの座を任されている。
南米屈指の熱狂的なクラブにあって、マラドーナに次ぐアイドルがトップにいるという事実は、クラブとファンからそれだけ愛されているという証拠だろう。
世間的な見え方では“消えた天才”かもしれないが……三者三様で自らの人生を歩んでいる。
<それぞれの「消えた天才」につづく>