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立浪監督の「野手の目利き」は確かだった? 中日の“二遊間論争”に決着をつけた村松開人23歳「いきなり打率2位浮上」激変のきっかけ
text by
小西斗真Toma Konishi
photograph byKiichi Matsumoto
posted2024/05/29 17:00
規定打席に到達し、いきなり打率2位に浮上した中日の村松
こうした技術面での進化はもちろんだが、安定して結果を残せている背景には「メンタル」があると村松は言う。
「1年目が終わって、自分と結果を残せている人の違いって何だろうと考えたんです。去年まではここで打てなかったら代えられるとか、ネガティブなことを考えていた。結果を残せている人はそうではない。目の前のことに一喜一憂しない。メンタルの成長が自分では一番大きいなと思っています」
和田コーチの助言
メンタルの安定は、打撃面だけでなく守備、走塁の向上ももたらしている。昨シーズンは守っては平凡なゴロをはじく、ノーバウンドの送球を落とす、走ってもオーバーランやライナーでの飛び出しなど初歩的なミスがいくつもあったが、2年目は間違いなく減った。思考法をほんの少し変えたことで、冷静に試合に臨めている証しだろう。
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技術、メンタルだけでなく、今シーズンの村松がもうひとつ変えたことがある。バットを従来のバーチからホワイトアッシュに変更した。
「キャンプのころに、和田(一浩打撃コーチ)さんから『一回、試してみないか?』って言われたんです。そこから発注して、開幕には間に合いませんでしたが、4月に届いて打ってみると合ったんですよ。バーチだとコーンと上がっていた感覚だったのが、アッシュは瞬間、バットにボールが乗るというか、くっつく感覚があるんです。使ったのは初めてでしたが、今は良かったと思います」
「二遊間論争」に決着
硬い打感で「はじき」を出すバーチに対し、ホワイトアッシュは「しなり」をもたらす。広角に打ち分ける村松には、ホワイトアッシュの方が適していると、和田コーチは判断したのだ。打撃フォームも思考法も道具も見直した。そこから2年目の躍進がスタートした。
2年連続最下位に沈んでいる立浪ドラゴンズ。その象徴と見られてきたのが、どんぐりの背比べだった二遊間だ。1年目(2022年)を終えて京田陽太(DeNA)、阿部寿樹(楽天)をトレードで放出。再構築するために、自ら東京六大学リーグに足を運び、ドラフト指名したうちの1人が村松だった。