バレーボールPRESSBACK NUMBER
世界1位トルコ撃破&女子バレー2連勝でも油断できない? 荒木絵里香が語る“パリ五輪までの過酷な道のり”「警戒すべき3つの国は…」
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byVolleyball World
posted2024/05/17 06:00
コンディションの良さを感じさせるキャプテン古賀紗理那。VNLで解説を務める荒木絵里香は、古賀をサポートできる人選にも着目した
そして、個人的に注目しているのはやはりミドルブロッカーです。(現役時代の荒木と)同じポジションの選手たちには大いに期待したいし、応援しています。
OQTでも活躍した山田二千華選手や宮部愛梨選手、渡邊彩選手は攻撃に加えて割り切ったブロックでも結果を残しました。そこにOQTはケガで選出されなかった荒木彩花選手が加わって、それぞれの個性を活かし、バリエーションも増えているのは間違いない。サイドに攻撃力のある選手がいても、ミドルがどれだけ決められるか、存在感を発揮できるかは勝敗に関わる大きな要素です。
OQTでメインセッターを務めた関菜々巳選手を始め、セッター陣はミドルを使える選手が揃っているので、前半からどれだけミドルを使い、相手に印象付けられるかも1つのポイントではないでしょうか。
トルコ戦の活躍も光ったセッター岩崎こよみ
そして、OQTに選出されなかったセッターの岩崎こよみ選手、リベロの小島満菜美選手、山岸あかね選手にも期待したいです(山岸はトルコラウンドはメンバー外)。
3人とも経験豊富で、リベロの2選手はコート内でリーダーシップを発揮する献身的な選手で、キャプテンの古賀選手をサポートする役割も担える存在でもあります。
トルコ戦でスタメン出場した岩崎選手とは埼玉上尾メディックスで一緒にプレーした経験がありますし、彼女も小さな息子さんと離れて家族全員が1つの“チーム”として戦っている選手。応援したくなる背景だけではなく、2023/24のVリーグでもセッターとして一番高いパフォーマンスを発揮し続けたのが岩崎選手だったので、日本代表でどれだけフィットするか楽しみです。
同じセッターの松井珠己選手も単身ブラジルへ渡り、経験を重ねてきて、関選手と同様にミドルを使えるセッターでもある。選ばれるのは12名ですが、皆が皆、真面目にバレーボールに取り組んできた姿を知っていて、心から応援したい選手ばかり。だからこそ、何としてもオリンピックの出場権を獲得してほしいし、叶うなら日本でオリンピック出場を決める姿が見たい。
これまでは出場する立場だったオリンピックを外野から見るのは2004年アテネ大会以来、20年ぶり。選手たちの頑張る姿や頑張って来た姿、正しい情報、正しい魅力をちゃんと伝えたいと思っています。すべてを出し切って、オリンピック出場をつかみ取れるように。観ている方々と同じように、私も楽しみに、誰よりも応援します。
※VNLは「U-NEXT Paraviコーナー」で全試合放送、「TVer」(無料)でも生配信中。17日ドイツ戦はBS-TBSでも生中継予定
荒木絵里香(あらき・えりか)
1984年8月3日生まれ、岡山県出身。2009年から全日本のキャプテンを務め、長年に渡って女子バレーボール界を牽引したミドルブロッカー。ロンドン五輪では28年ぶりとなるメダル獲得に貢献。結婚・出産を経ても第一線で輝き続け、2019年にはVリーグ通算ブロック決定本数1044本に到達し、日本新記録を更新した。2021年には東京オリンピックにキャプテンとして出場、2022年に現役引退。同年、早稲田大学大学院スポーツ科学研究科に入学し、翌年に卒業した